業績牽引するタレントパレット、プラスアルファ・コンサルティングの成長!

 人事情報・社員の見える化サービスのタレントパレット(Talent Palette)、マーケティングの見える化エンジン、CRM(カスタマーリレーションシップ)のカスタマーリングスなどビッグデータ関連のSaaS事業(サブスクリプション型ビジネス)を行っているプラスアルファ・コンサルティング(以下、PAコンサル)。PAコンサルの業績と株価の行方は?

ビッグデータ解析のプラスアルファ・コンサルティング、SaaS型で継続課金ビジネス!(2021年7月21日投稿)

■基本情報(2022年6月10日時点)

  • 株価:2,100円(10年来高値:4,480円)
  • 時価総額:844億円
  • 予想PER:52.7倍
  • PBR:15.31倍
  • 予想配当利回り:0.38%
  • 自己資本比率:81.4%
  • 会計基準:日本基準

■PAコンサルの業績は?

 PAコンサルの2022年9月期の第二四半期の売上高は37.5億円(前年同期比+30.2%増)、営業利益13.0億円(前年比+24.7%増)の増収増益。PAコンサルの売上総利益率は+71.2%(前年同期は+71.1%)、営業利益率は+34.7%(前年同期は+36.2%)と高い水準となっている。

 売上総利益は20.5億円→26.7億円と+6.2億円増えており、販管費は10.0億円→13.7億円と+3.7億円の増加にとどまり、営業利益の拡大につながっている。PAコンサルの従業員数は203名(前年同期は179名)と人員規模が拡大しており、なかでもタレントパレットが78名(2021年3月末)→100名(2022年3月末)に+22名とほとんどの伸びの要因となっている。

 PAコンサルはマーケティング費用(広告費ほか)を大幅に増やしており、テレビCMなどの増加があるものの、売上規模の増で費用増をカバーした形だ。

■タレントパレットが期待される!

 PAコンサルで売り出し中のサービスは、なんと言ってもタレントパレット(Talent Palette)。人材情報プラットフォームというSaaS(サブスクリプション型ビジネス)のサービスで、人材採用、研修・育成、福利厚生、ヘルスケアなど労務管理の次の発展の形として注目されるサービスだ。

 PAコンサルのタレントパレットは、2022年9月期の第二四半期で売上高22.1億円(前年同期比+57.2%増)、営業利益10.7億円(前年同期比+50.8%増)、営業利益率48.4%、顧客数836件(前年同期比+47.2%増)、解約率0.42%。PAコンサルの成長を支える常陽なサービスだ。

■タレントパレットの競合は?

 競合サービスとしては、ビジョナルの「HRMOS(ハーモス)」、カオナビの「カオナビ」、スタメンの「TUNAG(ツナグ)」、ジョブカンなどがある。

HRテックのビジョナル、ビズリーチと戦略的人事クラウド「HRMOS」で攻める!(2021年7月23日投稿)

タレントマネージメントのカオナビ、人材データ管理による「見える化」や「人材活用」!(2022年1月10日投稿)

社内組織管理サービス「TUNAG」展開のスタメン、サブスク型で成長積み上げる!(2021年9月11日投稿)

 ビジョナルの「HRMOS(ハーモス)」は、2022年1月末時点で顧客企業数1,050社、年間売上高予想14.2億円。カオナビは2022年3月末時点で利用企業数は2,497社、年間売上高予想は49.1億円。スタメンは2022年3月末時点で利用企業数452社、年間売上高予想は約9.5億円。

 PAコンサルのタレントパレットの年間売上高予想は約45億円でカオナビと並ぶレベル。大手企業向けの導入が多く、1契約あたりの単価が高いのが特徴だ。

 PAコンサルのタレントパレットはパナソニック、デンソー、ロッテ、ライオン、JR九州、リンナイ、花王など大手が導入しているケースが多い。契約者別でみると、社員数1,000名以上の企業の導入が全体の約4割となっている。

■PAコンサルの財務状況は?

 PAコンサルの自己資本比率は81.4%と非常に高く、健全だ。2022年3月末時点で現預金は約50億円もっており、有利子負債はゼロの状況。利益構造的に営業CFをしっかり稼げる状態であり、設備投資が不要なビジネスモデルのため、キャッシュがたまりやすい構造となっている。

■PAコンサルの株価推移は?

 PAコンサルの時価総額は約850億円。株価指標的には割高だ。ただし、SaaS事業であることを考えると、ストック型の事業モデルであり、収益性も高いことを考慮すると、きわめて割高ではなく、将来の業績をどう考えるか次第だ。金融緩和の縮小から引き締め(利上げ)に金融市場は移っており、市場からお金が吸い上げられるとグロース銘柄の企業価値(株価)には大きなマイナスとなる。

 もしかすると、ここから半値になる可能性もあるので様子見が無難ではないだろうか。カオナビは利益面で苦労しているものの、PAコンサルのタレントパレットとほぼ同じ事業規模で、時価総額は約300億円。カオナビもPAコンサルと同様に前年同期比+30%を超える成長性を示しているものの、PAコンサルほど株価の評価は高くない。PAコンサルはじめグロース銘柄はまだ妥当な株価水準が見えないため、様子見が無難ではないだろうか。

(画像1)PAコンサルの低迷する株価推移

以 上

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