携帯ショップ・通信機器販売・インターネット契約サービスや人気施設の予約・順番受付サイト「EPARK」などさまざまなビジネスをおこなっている光通信。「光通信」というサービスや商品販売をおこなっている訳ではないため、光通信という会社を知らない人も少なくないだろう。売上高5,000億円、営業利益750億円という巨大な優良企業。光通信の時価総額は１兆円を超える規模だ。光通信の株価の行方は今後どうなるのか？
■基本情報(2020年12月18日時点）
- 株価：24,700円
- 時価総額：1.1兆円
- 予想PER：21.3倍
- PBR：3.4倍
- 予想配当利回り：1.84%
- 自己資本比率：31.5%
- 会計基準：IFRS
■光通信の業績は？
光通信の2021年3月期の第二四半期の売上高は2,659億円（前年同期比+2.4%増）、営業利益476億円（前年同期比+6.0%増）と増収増益となった。光通信の営業利益率は17.9%と高収益を維持している。
■ストック利益にこだわる光通信！
光通信はストック利益の積み上げを重視している。光通信の言うストック利益とは、携帯端末の契約や保険など月額契約のビジネスにおいて、一定期間の利益が計上されるビジネスから生まれる売上高のことだ。たとえば、ソフトバンクの携帯端末をユーザーに紹介して契約することによって、一時的に営業費用はかかるものの、ソフトバンクとの契約に則って、一定の間はソフトバンクから光通信に手数料が支払われる。生命保険なども同様だ。光通信はこのビジネスモデルを重視して事業をおこなっている。
■わかりにくい光通信のビジネス！
光通信の事業はわかりにくい。光通信が表に出てビジネスをしているケースはそれほどなく、光通信グループの子会社や関連会社がビジネスをおこなっているケースが多い。たとえば、携帯ショップであれば、ジェイ・コミュニケーションという子会社が全国でauショップ（取次販売）をおこなっている。ソフトバンク向けであれば、テレコムサービスやメンバーズモバイルがソフトバンクショップ（取次販売）をおこなっている。
ソフトバンク向けの取次販売をおこなっているベルパーク（時価総額：447億円）については、光通信は約29%の株式を保有。ドコモ向けなどの取次販売をおこなっているティーガイア（時価総額：1030億円）については、光通信は約10%の株式を保有している。日本の多くの携帯ショップは光通信が大きな影響力をもっている。
携帯ショップ以外では、保険サービスをおこなっているNFCホールディングス（時価総額：約400億円）の約73%の株式を光通信は保有している。上場企業の大株主をみると、光通信が掲載されていることが多く、日本のビジネス界に光通信は大きな影響力をもっている。光通信は「法人サービス」「個人サービス」「取次販売」の３つのセグメントでしか損益を公表していないため、光通信の事業概要は理解しにくい。決算資料も非常に簡単な説明のみとなっている。
■純現金資産を積み上げた光通信！
光通信の2020年9月末時点の純現金資産（現預金＋上場企業の有価証券－有利子負債）は2,596億円となっている。上場子会社であるNFCホールディングス（時価総額：約400億円）、宅配水サービスのプレミアムウォーターホールディングス（時価総額：約1,000億円）、暮らし版のJAFと言われるアクトコール（時価総額：約90億円）、エフティグループ（時価総額：約470億円）など出資分を考慮すると、時価ベースではもっと高い純現金資産となる。
光通信の自己資本比率は31.5%とそれほど高くないものの、資産効率がうまく、借入金をうまく活用して利益を積み上げている。さまざまな上場企業に出資をしており、既存のビジネスとの相乗効果をだしているのが光通信の特徴だ。
■光通信の株価推移は？
光通信の株価推移は堅調だ。光通信の時価総額は1.1兆円と大きいものの、予想PERは21.3倍、PBRは3.4倍とそれほど高いものではない。光通信の営業利益率は約17%前後と高い。NTTドコモがアハモ(ahamo）を公表し、インターネット上での携帯契約のみ可能と言われているものの、携帯取次サービスがなくなることはないだろう。
ただし、これからの株価動向については、光通信は大型株のため株式相場の影響を大きく受ける。ここからバブル相場が盛り上がり、時価総額２兆円になる可能性はあるものの、時価総額5,000億円までさがる可能性もゼロではない。引き続き、光通信の上場企業の投資には注目が必要だ。
以 上