東海地区を中心に四輪・二輪の中古車を販売しているグッドスピード。ビッグモーターの保険申請問題などで中古車業界が揺れるなか、グッドスピードは不適切な会計処理の疑義のため調査委員会を設置と2023年9月29日に突然発表。今後の業績も気になるものの、目先の株価の行方が気になる。
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■基本情報(2023年9月29日時点)
- 株価:1,017円(10年来高値:2,655円)
- 時価総額:38億円
- 予想PER:14.2倍
- PBR:1.22倍
- 予想配当利回り:0.98%
- 自己資本比率:9.2%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:1,863人(2022年9月30日時点)
■グッドスピードの業績は?
グッドスピードの2023年9月期の第三四半期の売上高は478億円(前年比+19.9%増)、営業利益1.9億円(前年比△62.7%減)の増収減益。グッドスピードの売上総利益率は+16.0%(前年は+16.6%)、営業利益率は+0.4%(前年は+1.3%)と非常に低い。
グッドスピードの売上総利益は前年の66.3億円→76.7億円と+10.4億円の増加、販管費は前年の61.2億円→74.8億円と+13.6億円の増加となり、営業利益は前年の5.0億円→1.9億円と△3.2億円の減となった。
■グッドスピードの事業状況は?
グッドスピードの表面的な業績をみると、売上高や販売台数は前年以上に伸びており好調に見えるものの、販管費も大きく増えており、営業利益が前年割れしている。業績予想の営業利益10億円を考えると、現状の営業利益1.9億円であり、未達になることはほぼ確実だろう。
グッドスピードの現状を分析すると、とにかく販管費が大きく増えている。人件費、賃借料、減価償却費などが大きく増えており、店舗数を増やしているものの、1店舗あたりの売上高・利益が下がっていることを意味する。
販管費の推移をみると、各項目がどんどん右肩あがりに増えており、売上総利益の伸び以上に販管費が増えている。MEGA専門店の店舗数は11店舗と前年度末から+2店舗の増加。1店舗あたり5~6億円くらいの投資になり、その効果がうまくプラスに寄与していないと言えるだろう。
■不適切な会計処理の疑義とは?
2023年9月29日に突如、「調査委員会設置のお知らせ」を公表し、「当社は、公表済みの決算に関して不適切な会計処理がある旨の疑義が生じているとの監査法人からの指摘が2023年9月14日にあり、その対応方法について監査法人と協議してまいりましたが、当社は公正性を確保した調査が必要と判断し、本日開催の取締役会にて審議のうえ、下記のとおり外部の有識者で構成される調査委員会を設置することといたしましたので、お知らせいたします。」と発表。
しかも、現時点でグッドスピード自体が「査委員会が設置された後、直接、調査委員会へその内容を伝えると監査法人から言われており、現時点で当社は詳細を把握できておりません。」と内容を理解していない状況。自社で決算を作成して公表し、監査法人とやり取りをしているものの、詳細がわかっていないというのは致命的な状況だろう。
■今後の株価の行方は?
グッドスピードの時価総額はすでに38億円まで下落。すでに時価総額が小さいので、明確なことがわかるまではマネーゲームのように上下に大きく動くことが予想される。上場している中古車販売会社はネクステージなど問題が報道されており、業界全体でビジネスモデルに疑問符がつけられている状況。
そのような環境下、不適切な会計処理の疑義をグッドスピードは公表しており、このまま上場維持できるかも疑問が残る。グッドスピードは有利子負債の比率が大きく、借入銀行に不信感をもたれると事業をつづけることができない。当面は様子見が無難だ。
以 上