ボタニカルシャンプー「Botanist」のI-ne、堅調な成長つづく!

 「植物由来」というボタニカルシャンプーという分野を切り開いたI-ne(アイエヌイー)。大阪府大阪市に本社を置き、従業員282名のマーケティング販売会社。I-neはイメージ的には北の達人コーポレーション、新日本製薬、プレミアアンチエイジングなど工場を持たずマーケティングに特化した会社だ。いかにブランド(付加価値)をつけて販売するかがポイントになる。

ボタニカルシャンプー「BOTANIST」のI-ne、若干の停滞感、今後の行方は?(2021年11月21日投稿)

ボタニカルシャンプー「BOTANIST」のI-ne(アイエヌイー)、ビューティーテックの行方は?(2021年6月6日投稿)

■基本情報(2022年2月10日時点)

  • 株価:2,843円(10年来高値:6,890円)
  • 時価総額:249億円
  • 予想PER:23.6倍
  • PBR:2.95倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:59.9%
  • 会計基準:日本基準

■I-neの業績は?

 I-neの2021年12月期の売上高は284億円(前年比+21.5%増)、営業利益23.4億円(前年比+54.4%増)の増収増益。I-neの売上総利益率は+53.3%(前年は+48.0%)、営業利益率は+8.2%(前年は+6.5%)。

■プロモーション強化!

 I-neの売上総利益は前年の112億円→151億円と+39億円増加しているものの、販管費が96億円→127億円と+31億円増加したため、営業利益としては+8億円の改善にとどまった。I-neの利益モデル的に広告宣伝費を大量に投入し、競合他社と顧客を奪い合う市場であるため、営業利益率+10%を超えるのは、かなり難しいかもしれない。2021年12月期はプロモーション(広告費と販促費)は売上高比17.3%、前年の12.5%から+4.8%増となった。

 I-neの主力製品である「Botanist」はドラッグチェーン店や量販店で販売されており、ネットに特化した販売戦略を取ることはできない。また、日用品のため輸送費を考えると、現在のネット・量販店(店舗)の融合した販路戦略が現実的かもしれない。

■成長を支える2つの主力製品!

 I-neはボタニカルシャンプーの「Botanist」シリーズと、美容家電製品のヘアアイロン・ヘアドライヤーの「SALONIA(サロニア)」というブランドシリーズが売上高全体の77%を占めている。現在の成長もこの2つの主力製品が売上高を大きく引っ張っている。

 売上高の219億円は2つの主力製品、残り48.8億円は「NICOLESS」「CAROME」などの製品が占めている。今後は「Botanist」と「SALONIA」以外の製品をいかに成長させていくかが大きなポイントになる。

■I-neの財務諸表は?

 I-neのB/S(バランスシート)を見ると、商品が前年比+8億円ほど増加。キャッシュフロー計算書をみると、営業キャッシュフローは+5.7億円とそれほど出ていない。ファブレスメーカーのため、設備投資が不要であり、現預金がたまりやすい利益モデルであるものの、2021年12月期は本業(営業キャッシュフロー)ではそれほど稼げていない。

 I-neで気になるのは、「I-ne」というブランド自体に価値はなく、ボタニカルシャンプーの「Botanist」や「SALONIA」としてのブランド価値を高めている。次につながるブランドを構築するために、広告宣伝費が必要になるビジネスモデルということを覚えておかなければならない。

■I-neの株価推移は?

 I-neの時価総額は約250億円。一時は500億円を超えていた時価総額も半値以下まで下落。成長性はあるものの、営業利益率は+10%を超えることがない利益モデルであり、ITサービス企業のような爆発的な利益の伸びは難しいだろう。

 いっぽう、「Botanist」など着実にブランドのポジションを構築しており、日用品という商品領域のため安定した成長をつづける可能性は高い。いまの株価は割高感はなく妥当な範囲。ただし、いつまで調整が続くかは誰にもわからない。

(画像1)I-neの株価推移、下落トレンドがつづく

以 上

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