携帯番号を活用したショートメッセージ(SMS)を主なビジネスとしているAI CROSS(AIクロス)。前年比+30%を超える成長がつづいている。インターネット決済などでのSMS本人認証(セキュアSMS認証)など特許を保有してストック型のビジネスを積み上げている。新型コロナウイルス感染拡大時に広告投資で営業利益は落ち込んだものの、2020年4Qは四半期ベースで売上高・営業利益ともに過去最高となった。AI CROSSの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年2月19日時点)
- 株価:1,800円(10年来高値:2,728円)
- 時価総額:71.9億円
- 予想PER:41.2倍
- PBR:5.99倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:78.5%
- 会計基準:日本基準
■AI CROSSの業績は?
AI CROSSの2020年12月期の売上高は19.1億円(前年比+31.5%増)、営業利益1.9億円(前年比+0.3%増)の増収増益となった。AI CROSSの売上総利益率は+38.7%(前年:+40.8%)、営業利益率は+10%(前年:+13.1%)となっている。AI CROSSの営業利益率が低下している要因としては、研究開発費などの人材投資、広告宣伝、オフィス移転などにより、販管費が前年にくらべて1.4億円ほど増加している。
AI CROSSの業績を引っ張ているのは、メッセージングサービスというSMS(ショートメッセージ)を活用したサービスだ。インターネット決済時のSMS本人認証など法人向けのSMS配信サービスを行っている。「絶対リーチ!」という商品名で展開中だ。もうひとつは、ビジネスチャットサービスのIncircle(インサークル)。福利厚生代行サービス大手のリロクラブにOEMで「Incircle」を提供しており、「Job Talk」という名称で運用されている。
■AI CROSSの四半期ベースの業績推移は?
AI CROSSは前年比+30%を超える成長をつづけている。四半期ベースの売上高推移をみると、おおむね堅調に売上高を拡大させている。SMS配信サービスの「絶対リーチ!」は月額料1,000円と1通あたり最大12円という価格プランで展開しており、SMSの配信量が増加すると売上高が増える仕組み。AI CROSSの業績を支えているのもSMS配信サービスだ。2019年4Qから広告投資、オフィス移転費用などが増えて四半期ベースで減益となったものの、2020年12月期はなんとか増益で終えることができた。
■じつは競合企業も多いSMS配信サービス!
AI CROSSが主戦場としているSMS配信サービスでは、競合する他社は少なくない。たとえば、「SMSコネクト」を展開している東証マザーズ上場のアクリート。売上高や時価総額などAI CROSSとほぼ同じ規模であるものの、営業利益額はAI CROSSよりも高い。そのほかにもNTTコムオンライン、メディア4u、ユミルリンク、ネクスウェイなどSMS配信サービスをおこなっている企業は多い。AI CROSSにとって、どこまで他社と差別化できるかが大きな課題だ。
■AI CROSSの株価推移は?
AI CROSSの時価総額は約70億円。上場してから株価は横ばいだ。安定的に売上高と営業利益を増加させているものの、すでに株価に成長性が織り込まれている状態。2021年12月期も前年比でプラス30%を超える成長を目指しているものの、すでに株価には織り込まれている状況だ。
以 上