成長鈍化のマネジメントソリューションズ(MSOL)、人材獲得競争は激化!

 アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身の社長CEOが率いるマネジメントソリューションズ(以下、MSOL)。PMOと呼ばれるプロジェクト全体の進捗管理・課題の可視化を得意とするコンサル会社で、特に大企業に強いのが特徴。売上高は1Qの減収から増収基調への修正は成功。利益構造の改善が大きな課題だ。

プロジェクトマネジメントのMSOL(マネジメントソリューションズ)、DX需要取り込みで規模拡大継続!(2023年5月4日投稿)

プロジェクトマネジメント支援のマネジメントソリューションズ(MSOL)!(2022年5月7日投稿)

■基本情報(2024年8月16日時点)

  • 株価:1,295円(10年来高値:5,210円)
  • 時価総額:218億円
  • 予想PER:12.9倍
  • PBR:4.78倍
  • 予想配当利回り:1.98%
  • 自己資本比率:62.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:4,571人(2023年10月31日時点)
  • 事業価値:200億円

■MSOLの業績は?

 MSOLの2024年12月期の第二四半期の売上高は92.7億円(前年比+15.4%増)、営業利益8.5億円(前年比+5.5%増)の増収増益。MSOLの売上総利益率は+40.2%(前年は+36.6%)、営業利益率は+9.1%(前年は+10.0%)と粗利率は改善したものの、人件費の大幅な増加により営業利益率は悪化となった。ただし、決算説明資料をみると、売上原価と販管費の入り繰りの調整で粗利と営業利益のバランスが変わっていることを指摘している。

 MSOLの売上総利益は前年の29.4億円→37.3億円と7.9億円の増加、販管費は前年の21.4億円→28.8億円と+7.4億円の増加となり、営業利益は前年の8.0億円→8.5億円と+0.5億円の増加にとどまった。

■MSOLの事情状況は?

 MSOLの従業員数は1,341名(前年同期は1,063名)、コンサルタント数は1,091名(前年同期は897名)と大きく従業員数を増やしている。中途採用者数を公表しており、年間で500~600名ほどを採用している。つまり、従業員の純増から考えると相当数の退職者がいることがわかる。

 ここまで中途採用をしていることを考えると、採用費も相当に高くなっていると思われる。採用教育費という販管費の項目を開示しており、年間で6~7億円を投資している。2024年度については上期の時点で6億円となっている。なお、月平均の応募者数は720名(2023年度の実績)となっており、採用に相当コストをかけている。

 MSOLはプロジェクトマネジメントを得意としたコンサルティング会社。同業の上場企業としては、プロジェクトホールディングスや総合コンサルティング企業、ベイカレントなどが想定される。従業員の平均年齢は38.5歳、平均勤続年数は2.3年、平均年収は725万円。給与水準は低いわけではないものの、コンサルティング企業としては高い範囲でもない。

■MSOLのKPIは?

 MSOLの決算説明資料をみるかぎり、重要なKPIやその進捗の説明が一切ない。受注状況、コンサルタントの稼働率、コンサルタントあたりの売上高金額など、何も開示されていない。業績が好調であればよいものの、成長性が大きく鈍化しており、現状の進捗が見えないのは悩ましい。

■MSOLの株価推移は?

 MSOLの時価総額は約200億円。2024年8月の利上げショックで株価は大きく下落したものの、底値から3割ほど回復している。しかしながら、成長性と収益性が鈍化しており、MSOLの株価トレンドは下降傾向にある。株価の割安感もないので、当面は株価の浮上はないのではないだろうか。

以 上

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