クラウド会計を展開しているfreee(フリー)。2021年2月10日に決算を発表したところ、翌営業日の2月12日には前営業日比+14%以上の上昇となり上場来高値を更新。時価総額は5,900億円となり、東証マザーズではメルカリに次ぐ時価総額だ。コロナショックで株価が落ち込んだ2020年3月から株価は5倍以上も上昇しており、いったいどこまで株価は上昇するのだろうか?今後のfreeeの業績と株価はどうなるのだろうか?
クラウド会計のfreee(フリー)、1.2兆円市場を攻める!継続課金売上高比率は90%超(2020年11月28日投稿)
■基本情報(2021年2月12日時点)
- 株価:12,040円(10年来高値:12,200円)
- 時価総額:5,901億円
- 予想PER:-(赤字予想)
- PBR:45.9倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:72.1%
- 会計基準:日本基準
■freeeの業績は?
freeeの2021年6月期の第二四半期の売上高は46.2億円(前年同期比+50.3%増)、営業利益△6.9億円(前年同期は△9.9億円の赤字)と大幅な増収を維持している。freeeの売上総利益率は+80.1%(前年同期は+78.1%)と高く、売上総利益は+37億円となっている。
freeeの販管費は43.9億円と売上総利益以上にコストがかかっているため、引き続き営業利益は赤字となっている。freeeが株式市場で評価されているのは、成長性と将来の収益性だ。これまで研究開発費と販売促進費(広告宣伝費)をコントロールしながら売上規模の拡大を重視しているものの、販管費をコントロールすることで営業黒字にはいつでも転換可能な状況だ。しかしながら、時価総額はすでに6,000億円に近く、売上規模100億円のfreeeが高く評価されすぎていないだろうか。
■売上総利益を重視!成長企業で採用される!
freeeは売上総利益を重視している。四半期ベースで確実に売上総利益は増えており、売上総利益率は79%前後を維持している。freeeは売上規模の拡大を重視しており、これからの数年間も引き続き営業赤字を継続するかもしれない。freeeを利用している上場企業も多く、たとえば、ラクスル、ガンホー、アトラエ、ウォンテッドリー、HENNGE、ロコガイド、エネチェンジなど設立年度の若い、成長企業の利用企業が多いのが特徴だ。
昔ながらの大手企業は自社開発した会計システムを利用しているケースが多い。またはオービックビジネスコンサルタント(OBC)の奉行クラウド、マネーフォワード、弥生会計、ピー・シー・エー(PCA)などのパッケージソフトまたはクラウド会計を利用している。freeeとしては新しいベンチャー企業に積極的にクラウド会計を導入してもらい、成長企業セグメントで強固なポジションを築く戦略だ。
■海外投資家の保有率が56.8%に!
この1年でfreeeの株価上昇は約5倍まで上昇している理由は?freeeの株主構成をみると、海外の機関投資家の保有率が56.8%となっており、海外のマネーがfreeeの株価を押し上げている要因ということがわかる。経営陣などの保有分を除くと、全体の87%は海外の機関投資家の保有となる。心配されるのは、世界の金融緩和や財政支出の状況が変わり、マネーの動きが逆流するときの株価への影響だ。海外の機関投資家は、必ずしも長期投資家であるとは限らないからだ。なお、日本の個人投資家の保有率はわずか2.7%しかない。
■freeeの株価の行方は?
freeeの時価総額は約5,900億円。さきほどの株主構成をみてわかるように、freeeの株価は海外の機関投資家がその行方をにぎっている。東証マザーズの時価総額上位はメルカリ(9,600億円)、freee(5,900億円)、ラクス(3,600億円)、JMDC(3,300億円)、BASE(2,700億円)、弁護士COM(2,500億円)とITサービス企業が占めており、海外の機関投資家の保有比率はいずれも高い。
すでに成長性やPBRなどの株価指標では判断できない水準まで株価は上昇しており、世界の金融緩和政策が大きく変わるまでは上下ともに大きく動くと思われる。freeeの株価はここから上昇していく可能性ももちろんあるが、下落するときは20%~50%くらい下落するリスクはあるので十分注意した取り組みが必要だ。
以 上