管理部門・会計法律に特化した人材紹介のMS-Japan(MSジャパン)、配当性向100%に!

 管理部門や会計・法律などの有資格者向けに特化した人材紹介事業を展開しているMS-Japan(以下、MSジャパン)。業績はアフターコロナのなか、着実に需要を取り込んでいる。想定外だったのは配当性向を従来の35%程度→100%に引き上げたため、予想配当利回りが5%付近まで急上昇。株価も大きく反応している。今後のMSジャパンの業績と株価の行方は?

管理部門や士業に特化した人材紹介のMS-Japan(6539)、コロナショックで株価下落の先は?!(2020年10月17日時点)

■基本情報(2022年11月11日時点)

  • 株価:1,001円(10年来高値:2,480円)
  • 時価総額:250億円
  • 予想PER:21.0倍
  • PBR:2.51倍
  • 予想配当利回り:4.79%
  • 自己資本比率:93.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,774人(2022年3月31日時点)

■MSジャパンの業績は?

 MSジャパンの2023年3月期の第二四半期の売上高は21.2億円(前年同期比+14.6%増)、営業利益9.0億円(前年同期比+15.8%増)の増収増益。MSジャパンの売上総利益率はほぼ100%で、発生した費用をすべて販管費に計上している。コスト計算の考え方で、売上原価と販管費をあえて区別していない。

 MSジャパンの営業利益率は42.3%(前年同期は41.9%)と非常に高い。ビジネスモデル的に非常に利益の出やすい構造になっている。そもそも、競合他社であるJACリクルートやリクルート、エン・ジャパンなど利益率の高い構造になっている。転職希望者を紹介することで、年収の30~35%くらいを紹介先企業から受け取る構造で、高収益なビジネスモデルとなっている。

■最近の人材紹介市場は?

 MSジャパンはアフターコロナのなか人材紹介事業は2020年レベルまで回復している。2020年3月くらいから新型コロナウイルスが拡大し、採用市場は大きくしぼんだものの、人手不足は深刻であることは変わらず、採用市場の回復に伴いMSジャパンの業績は大きく回復している。

 新規求人数は2010年のリーマンショック時に大きく落ち込んだものの、現在は当時の3倍くらいまで新規求人数が増加している状況だ。コロナショックでの落ち込みも限定的で、ここから新規求人数は大きく増えていくと思われる。

■メディア事業のManegy(マネジー)とは?

 MSジャパンはメディア事業のManegy(マネジー)に力を入れている。2022年3月時点の売上高は2.7億円とまだ小さいものの、今期は3.6億円と大きな伸びを計画している。Manegyの役割としては、管理部門・士業(会計・法律)の人材をネットで集客して、MSジャパンの人材紹介や顧客への「送客」によるマネタイズすること。

 Manegyのマネタイズ方法については「顧客にリードすること」と記載されており、おそらく「送客」することにより紹介料を得ているビジネスモデルだと思われる。決算説明資料でのコンバージョンレート(CV数)は四半期で1,355CVと公表しており、このCV数が報酬につながっているものと思われる。

 Manegyのサイトをみると、たとえばクラウド会計サービスの一覧の資料請求をしたりする仕組みになっており、送客するビジネスモデルになっている。いわゆる、ビジネス関連の資料請求サイトのような位置づけだ。ブログ形式でビジネスパーソン向けのニュースや情報を記載しており、SEO(検索エンジン最適化)により集客しているものと思われる。

■配当性向の大きな変更!

 2022年11月10日の決算発表でサプライズだったのは配当性向の変更だ。現在の35%前後→配当性向100%に変更を発表。配当利回りが大きく改善することを好感して、翌日はストップ高となっている。MSジャパンは資金が豊富で、自己資本比率は90%を超えている。

 2022年9月末時点で現預金は69億円、有価証券10億円、投資有価証券20億円と現金相当のもので約100億円を計上している。ビジネスモデル的に設備投資は不要なため、稼いだ利益から税金を除くと、ほぼ現預金として残る。有利子負債はもちろんゼロだ。

■MSジャパンの株価推移は?

 MSジャパンの時価総額は約250億円。正直、収益性を考えると割安だ。現金相当を100億円保有しており、資産面からみても安心感が大きい。配当利回りも5%前後となり、加えてウィルズの運営するプレミアム優待倶楽部で高いポイント還元を実施しており、それも考慮すると、実質的な株主還元率はもっと高い。

 今回、中期経営計画を公表しており、3年後の2025年3月期には売上高61.3億円、営業利益25.7億円を計画しており、計画どおり行くと配当金も1.5倍くらいになる見込みだ。ただ、冷静にみると足元の業績は2020年3月期レベルのため、本当に計画どおりいくか慎重に見極める必要がある。

(画像1)MSジャパンの株価推移

以 上

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