飲食店予約サイト運営のRetty、コロナ禍で苦戦も4.7億円の積極投資!

 「ぐるなび」「食べログ」「ホットペッパー」などの飲食店予約サイトと競合している「Retty(レッティ)」を運営しているRetty。2020年10月30日に東証マザーズに上場し、初値から4分の1くらいまで株価は下落。コロナ禍で赤字がつづいており、アフターコロナ期待にしびれを切らし、株価は低迷中だ。Rettyの業績と株価はどうなるのか?

コロナ禍で苦戦中ぐるなび、つづく営業損失はいつまで?(2021年8月9日投稿)

■基本情報(2022年4月22日時点)

  • 株価:366円(10年来高値:2,870円)
  • 時価総額:43億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:4.41倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:48.9%
  • 会計基準:日本基準

■Rettyの業績は?

 Rettyの2022年9月期の第一四半期の売上高は4.3億円(前年同期比△18.0%減)、営業損失△1.6億円(前年同期は△3百万円の赤字)と苦戦中。Rettyの売上総利益率は+55.8%(前年同期は+69.3%)と商品・サービス構成が変化している影響が大きい。

 Rettyは有料お店会員への従量課金契約やプレミアム予約を提供している。これらのサービス内容は「Retty」のサイト内にお店を掲載しており、「Retty」経由でお店を予約できるサービス。「Retty」を経由することで、お店側としては広告(サービス)効果を確認することができる、いわゆる送客ビジネスのひとつ。いかに「Retty」のサイトの集客力をあげて、サイトビューを向上させるかがRettyにとって大きなポイントとなる。

 プレミアム予約は、一部の人気店に特化した月額固定料なしの送客サービスだ。ただし、人気店としては「ぐるなび」「食べログ」「一休」など多くのサイトが掲載を希望しているため、あえて「Retty」に進んで掲載する必要はないため、Retty側から頼んで掲載させてもらっているという形だろう。

■Rettyの戦略は?

 Rettyの有料お店会員店舗数は7,905店舗(2021年12月末)と8,350店舗(2021年9月末)から大きく下落している。もっと遡ると、2021年3月末は9,399店舗だったことを考えると、飲食サイトは危機的な状況であることがわかる。緊急事態宣言や蔓延防止法などの適用により、飲食店の接客的な営業活動の意欲がそがれていることが背景だ。

 Rettyは2022年度に合計4.7億円の投資を実行する予定。飲食店販売チャネルへの投資として1.5億円を投じて新規顧客の獲得を目指す。具体的には年間で30名ほどの採用をしたり、営業会社への業務委託で顧客獲得を目指すとしている。しかしながら、市場自体が縮小しているなか、アフターコロナで市場再開が前提になる。なお、Rettyの社員数は約130名で給与関係の固定費だけで年間6.5億円は発生する(年間売上予想は18.1億円を見込む)。

 もうひとつはDXプロダクトへ3.2億円の投資を計画している。具体的には「PayPayボーナスキャンペーン」「アプリの機能改善」「販売管理業務のデジタル化」と新サービス投入というより、既存業務の改善やキャンペーンといったところ。

■唯一のRettyの希望は?

 正直、Rettyの現状は厳しい。ITサービス会社のイメージを持つかもしれないが、「ぐるなび」の小さい版というビジネスモデルで、営業員や営業委託会社がコツコツと飲食店に営業をかけるビジネスモデルとなっている。

 唯一の希望としては、Zホールディングスが出資をしており、Yahoo!のトップページにも「Retty」が表示されており、最終的にはZホールディングスに買収されるかもしれないという期待感。アフターコロナで飲食業界が正常になれば、「ぐるなび」同様に黒字になると思われるが、いつ正常化されるかわからないことが難点。あと2~3年、コロナ禍がつづく場合、先に増資の検討が必要になりそうだ。

■Rettyの株価推移は?

 Rettyの時価総額は約43億円。現在の株価は366円で、上場直後は一時2,870円まで上昇しており、高値から大きく下落している。Rettyはビジネスモデル的に投資がそれほどいらないものの、コロナ禍の経営悪化により借入金は約8億円となっている(現預金は10.3億円)。ITサービス事業のような表面的なイメージあるものの、実態としては営業員を抱えた地味なサービス導入拡販活動がRettyの成長のカギになる。ある程度の営業人員(固定費)を抱える必要がある。

 Rettyにとって売上総利益率が大きく悪化していることが悩ましい。「ぐるなび」「食べログ」「ホットペッパー」「一休」などとの競争が激しく、市場シェアの取り合いという状況で料率を下げる必要が出てくる。そもそも、飲食店自体で大儲けしている企業や個人経営の店が少なく、料率をあげる状況は出てきにくいだろう。飲食店予約サイトだけがぼろ儲けできる時代は終わったと考えるべきだろうか。

(画像1)Rettyの株価推移、高値から10分の1くらいまで下落

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする