施工管理SaaS「SPIDER PLUS」のスパイダープラス、建設業界のDXツール!

 建設業の図面管理、写真管理、報告書作成など建設・施工のデジタル支援をするツール「SPIDER PLUS」を提供しているスパイダープラス。クボタ、熊谷組、シーテック、三菱地所レジデンスなど大手も導入している施工管理アプリ。契約社数は1,258社(前年比+42%)と大きく伸びているものの、引き続き営業赤字の状況。今後の業績と株価はどうなるのか?

■基本情報(2022年7月1日時点)

  • 株価:389円(10年来高値:2,629円)
  • 時価総額:132億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:2.88倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:84.8%
  • 会計基準:日本基準

■スパイダープラスの業績は?

 スパイダープラスの2022年12月期の第一四半期の売上高は5.7億円(前年比+3.5%増)、営業損失△2.1億円(前年同期は△1.4億円)と増収であるものの赤字拡大となった。スパイダープラスの売上総利益率は+61.4%(前年同期は+70.1%)と大きく悪化。

 売上高が前年同期比+3.5%増にとどまったのは、エンジニアリング事業という前年同期は1.1億円の売上高があったものをArmacell Japanに2億円で譲渡した影響が出ている。その影響を除くと、前年同期比+30%の伸びとなっている。スパイダープラスのエンジニアリング事業は断熱材「アーマフレックス」を使用した熱絶縁工事を行っていた。

■スパイダープラスの事業内容は?

 スパイダープラスは施工管理SaaS(クラウド型サービス)の「SPIDER PLUS」を提供しており、IDあたり月額3,000円を徴収している。「SPIDER PLUS」は図面管理、写真管理、報告書作成など建設業で必要なサービスを提供しているデジタルツールの1つ。

 建設業界は人手不足に悩んでおり、生産性の向上が大きな課題。デジタルツールの活用により、現場管理の効率化が大きな課題となっていた。とくにビルやマンションなど大規模建築現場で複数の事業者間の情報共有に活用されている。

 建設業界にも2024年から残業時間の上限規制(働き方改革)が適用されることもあり、現場の生産性向上が大きな課題になっている。

■スパイダープラスの経営状況は?

 スパイダープラスは2022年3月末時点で現預金40億円を保有しており、自己資本比率も80%を超えていて高い。当面の財務状況は健全であるものの、赤字体質からの脱却が大きな課題だ。

 契約社数は1,200社を超えているものの、ID数は約4.9万と1社あたり平均40IDとそれほど多くない印象。建設業界で試行的に導入しているのか、それともマーケットがかなり小さいのか見極めが必要だ。

 スパイダープラスの売上総利益3.5億円に対して、販管費が5.6億円発生しており、赤字が増え続ける利益構造になっている。いまは売上規模をとにかく拡大していく必要がある段階だ。スパイダープラスの従業員数は145名、平均年齢は34.7歳、平均年数は526万円とそれほど高いわけではない。

■建設業界のDX化の必要性は?

 施工管理SaaSといてスパイダープラスはツールを提供しているものの、建設会社や施工会社としてはまずは設計の高度化が重要だ。3D-CADやXRなどの図面をいかに効率的に作成するかがキーとなる。

 「SPIDER PLUS」の競合アプリとしては、アンドパッドの施工アプリ(利用社数13万社、ユーザ数26万人、月額3.6万円)、ダンドリワーク(月額2.0万円)、コムテックスのKizuku(月額2.2万円)など競合アプリは数多くある。

 気になるのは「SPIDER PLUS」が月額3,000円と安すぎること。業界アプリではそれほど高い効果がないのではないかと考えてしまう。施工管理アプリではアンドパッドのほうが規模も大きく、業界内での存在感が高い。

■スパイダープラスの株価の行方は?

 スパイダープラスの時価総額は約130億円。一時は1,000億円近い時価総額だったものの、上場来安値圏まで下落している。コロナ後のグロース銘柄の上昇相場が終わり、適正株価に戻っているというのが正確な表現ではないだろうか。スパイダープラスは公募価格1,160円、初値1,722円だったため、現在の株価389円と比べると数分の1まで下落している。

 言い換えると、公募価格でしっかり資金調達できたため、当面の財務状況は健全と言い換えることができる。ただ、上場初期の投資家は大きな損失をかぶったことを忘れてはならないだろう。「SPIDER PLUS」の月額利用料が3,000円というのが安すぎるような気がしてならない。本当に役立つものであれば、月額1.0万円でも企業は積極的に使用するだろう。そこの評判がイマイチわからないというのが実情だ。

(画像1)スパイダープラスの株価推移

以 上

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