無料ネット通販サイト作成のBASE、成長鈍化も今後はPAY.JPがキー!?

 ネット通販サイトを無料で作成できるサービスを提供しているBASE。BASE事業は成長が鈍化というか停滞している。成長企業の事業成長の鈍化はきびしいものの、BASEにとってはPay.jpなどの決済ツールの提供が今後の事業の主力と思われる。BASEの事業状況と株価の行方は?

成長鈍化のBASE、ネットショップ作成サービスとオンライン決済!(2022年4月2日投稿)

ネットショップ作成支援のBASE、先行投資重なるも事業規模は着実に拡大中!(2021年8月11日投稿)

■基本情報(2022年8月5日時点)

  • 株価:335円(10年来高値:3,448円)
  • 時価総額:375億円
  • 予想PER:赤字予想
  • PBR:2.62倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:50.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:36,882人(2021年12月末時点)

■BASEの業績は?

 BASEの2022年12月期の第二四半期の売上高は48.1億円(前年同期比+2.6%増)、営業損失△8.7億円(前年同期は△2.7億円の赤字)と成長鈍化と赤字幅の拡大となった。BASEの売上総利益率は+52.1%(前年同期は+57.5%)と悪化している。直近の第二四半期(4月~6月)の3か月間だけをみると、売上総利益率は+49.0%(前年同期は+56.2%)、前四半期は+55.0%と悪化している。

 BASEの決算説明資料によると、月額5,980円(税込)の定額プランを導入したことにより、決済手数料(テイクレート)が減少したことが売上総利益率の悪化の要因としている。言い換えると、売上高がサブスクリプション型で安定したことで売上成長率が鈍化したと説明している。文字どおりに受け取ることはできず、新しい施策がBASEの収益力(売上高)を下げる戦略だったと説明しているようなものだ。

■成長鈍化のBASE事業、伸びるPAY事業!

 BASEは大きくネット通販サービスのBASE事業と決済サービスのPAY事業の2つをおこなっている。事業を支えているのはBASE事業だ。しかしながら、BASE事業の売上高は19.4億円(21年1Q)、20.8億円(21年2Q)、20.9億円(21年3Q)、23.1億円(21年4Q)、20.5億円(22年1Q)、17.8億円(22年2Q)と下落している。

 いっぽう、PAY事業は2.9億円(21年1Q)、3.5億円(21年2Q)、3.8億円(21年3Q)、4.2億円(21年4Q)、4.4億円(22年1Q)、4.8億円(22年2Q)と大きく成長している。ただし、PAY事業は年間売上高20億円程度にとどまり、まだ規模が小さい。

■プロモーション費除きの営業損益

 BASEはこれまでプロモーション費(主に広告宣伝費)で営業黒字を維持していると公表してきた。たしかに、プロモーション費を除くと、年間20億円くらいの営業黒字を確保してきた。2022年12月期に入ると、その金額規模が下がり、22年1Qは+3.1億円(プロモーション費:5.8億円)、22年2Qは△0.3億円(同:5.7億円)と赤字に突入。

 プロモーション費を減らしたわけではなく、粗利が下がったことによりプロモーション費を除いても赤字に突入してしまった。BASEの事業をみると、ネット通販サービスのBASE事業は本格的にビジネスで利用するには集客の観点から厳しく、結局、本格的にEC通販を実施する事業者はAmazon、楽天、ヤフーショッピング、ZOZOなどを活用しているのが実情だ。自社でECショップを開設して、しっかり集客することが正直むずかしい。

■自転車操業に入ったBASE事業

 BASEの決算説明資料をみると、ネットショップの開設年別にわけたGMV(総取引高)の推移が記載されている。この資料をみるとわかるのは、新規ショップの開設がなければ、基本的にGMVは前四半期割れになる構造だ。プロモーション費を投入して新規ショップを誘導しないと成長鈍化が目立ってしまうという構造になっている。

■期待されるのはPAY事業!

 BASEも先を見越して、2020年に120億円を海外投資家向けの増資で資金調達し、PAY事業の拡大につとめてきた。現状はPAY事業が育つ前にBASE事業の集客力が下がってきたというのが実情だ。

 PAY事業はBNPL(Buy Now,Pay Later)というサービスで、クレジットカードに代替するサービスとして期待されている。BNPLは①分割払いの手数料が発生しない、②与信審査がない、ということで広がりが期待されるサービスのひとつ。同業他社としては、PayPay後払い(Zホールディングス)、Paidy(株式会社ペイディ)、NP後払い(ネットプロテクションズ)、GMO後払い(GMOペイメントサービス)、メルペイスマート払い(メルカリ)などがある。ネットプロテクションズはatoneというサービスも展開している。

■BASEの株価推移は?

 BASEは決算発表後の2022年8月5日、前日比△14.5%の大きな下げとなった。1日で時価総額は約50億円吹っ飛んだ結果となった。しかしながら、BASEの時価総額はまだ380億円ある。PAY事業が成長して独り立ちするまでには、まだ時間がかかりそうだ。ここから半値くらいの時価総額200億円くらいまで下がる可能性は十分あるだろう。

 ただ、PAY事業だけで売上高は年間20億円あり、競合となるロボットペイメントなどは年間売上高17億円くらいで時価総額は約65億円ある。成長率はBASEのPAY事業のほうが前年同期比+36.5%増と高い(ロボットペイメントは前年同期比+25%増前後)。ただ、BASEは含み損で頭を悩ませている投資家も多く、当面はなかなか上昇しないだろう。もう、思惑であがるような規模でなく、投資家が増えているフェーズでもない。

(画像1)きれいな山の形を描くBASEの株価推移

以 上

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