婦人靴の「オリエンタルトラフィック」や「卑弥呼(HIMIKO)」、「WA!KARU」などのブランドで展開しているダブルエー(WA)。2020年は新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言により、国内店舗の大半が休業や時短営業を強いられた。2021年度も緊急事態宣言により東京都内・関西・北海道・中部の店舗が休業。香港・マカオなどの海外店舗の客数は回復傾向だ。ダブルエーの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年6月25日時点)
- 株価:3,160円(10年来高値:4,720円)
- 時価総額:150億円
- 予想PER:26.8倍
- PBR:2.07倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:77.9%
- 会計基準:日本基準
■ダブルエーの業績は?
ダブルエーの2022年1月期の第一四半期の売上高は31.2億円(前年同期比+99.7%増)、営業利益△1.5億円(前年同期は△5.5億円の赤字)と増収と営業赤字の縮小となった。ダブルエーの売上総利益率は+66%(前年同期は+61.3%)と高いものの、店舗を抱えているため販管費が高く、営業赤字となっている。
ダブルエーの2021年1月期の有価証券報告書をみると、販管費は78.8億円。その販管費の大口としては人件費16億円、地代家賃14.8億円で合計で約30億円となっている。広告宣伝費は公開されていない。ダブルエーはAmazonなどの自社以外のECサイトでも販売されており、それらの手数料の影響も大きいと思われる。
■ダブルエーの事業内容は?
ダブルエーは「オリエンタルトラフィック」、「卑弥呼(HIMIKO)」などの婦人靴を中心としたシューズメーカーとして事業展開している。「卑弥呼」は1973年創業の婦人靴メーカーで、ダブルエーが2020年5月に子会社化している(取得金額は非公開)。
ダブルエーは単なる婦人靴メーカーというだけでなく、自社でECサイトによる販売と店舗販売を実施している。日本国内のダブルエーの店舗数は105店舗、ECショップは10店舗、「卑弥呼」は店舗数54店舗、ECショップ5店舗となっている。海外では香港に19店舗、マカオ2店舗、中国本土1店舗となっている。
ダブルエーの売上総利益率は高いものの、店舗運営により販管費が大きくかかっている。ダブルエーの主力ブランド「オリエンタルトラフィック」ではパンプスは3,000円~8,000円くらいで販売しており、値引き販売も多い。20代~40代の女性を主なターゲットとした商品を販売している。
■スポーツブランド「ORTR」、高性能ブランド「NICAL」の展開!
ダブルエーはこれまでパンプスやブーツばかりであったが、スポーツブランド「ORTR」の路面店を東京・武蔵野市に出店し、2021年6月オープン。「ORTR」は女性向けのスニーカーやスポーツサンダルを販売している。価格は3,000円~7,000円くらい。
高性能ブランドとして「NICAL」をルミネ新宿と渋谷スクランブルスクエアに出店。価格帯は8,000円~13,000円。「オリエンタルトラフィック」のワンランク上というブランドポジションだ。
■ダブルエーの株価の行方は?
ダブルエーの時価総額は約150億円。新型コロナウイルスの感染拡大前の2020年1月期までは営業利益率は約10%前後だったものの、そこから売上高は大きく停滞し営業利益が大きく悪化。2017年から2018年度に売上高は2倍以上と急成長したものの、ここ4年は新型コロナウイルスの影響を除いても横ばいがつづいている。
日本国内でダブルエーの業績を大きく伸ばしていくことは難しく、期待されるのは中国本土への展開だ。香港では一定の評価を得ており、中国本土で大ヒットすれば業績に大きく貢献するはず。中国本土では実店舗よりもECショップなどの活用のほうが効率的に売上を計上できるはずだ。ダブルエーの社長は中国人であり、中国本土への展開を期待したい。
以 上