クラウド転換が進むオービックビジネスコンサルタント(OBC)、再び2ケタ成長に!

 経理・人事総務などの統合システム「奉行シリーズ」を展開しているオービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)。売上高300億円、営業利益130億円、営業利益率は40%を超える高い収益力を持ち、手元の現預金は1,140億円と優良な財務体質を誇る超優良企業。2021年3月に「奉行クラウド」の受注が急騰し、20年3Q→4Qの伸び率が+85.6%と急騰。OBCの業績と株価の行方はどうなるのか?

「奉行シリーズ」のオービックビジネスコンサルタント(OBC)、2021年度は大幅増益予想!株価の行方は?(2021年6月26日投稿)

■基本情報(2021年6月25日時点)

  • 株価:6,480円(10年来高値:7,570円)
  • 時価総額:4,886億円
  • 予想PER:43.4倍
  • PBR:3.78倍
  • 予想配当利回り:0.92%
  • 自己資本比率:81.2%
  • 会計基準:日本基準

■OBCの業績は?

 OBCの2021年3月期の売上高は292億円(前年比△2.7%減)、営業利益129億円(前年比△0.3%減)の減収減益となった。OBCの売上総利益率は+83.8%(前年は+82.5%)、営業利益率は+44.2%(前年は+43.2%)ときわめて高い水準となっている。

 OBCの売上総利益は245億円、販管費は116億円、その差額の営業利益は+129億円となっている。販管費の内訳をみると、人件費38.7億円、研究開発費30.2億円、広告宣伝費7.8億円が大きい。OBCの企業規模にくらべると、広告宣伝費7.8億円はそれほど金額は高くない。同じクラウドITのラクスの広告宣伝費は11.1億円(前年は22.5億円)、Sansanは約10.6億円(年間ベースに補正)、サイボウズは26億円(前年は18億円)とOBCより大きな金額を投入している。

 OBCは長年、「奉行シリーズ」を展開して固定顧客がついており、いまはオンプレミス(顧客企業所有のサーバーで稼働させるタイプ)からクラウド型への移行が進んでいる状況。新規顧客獲得よりも既存顧客の切り替えで事業成長できる段階か。

■2021年度のOBC業績の行方は?

 2021年度のOBCの業績計画は売上高340億円(前年比+16.2%増)、営業利益154億円(前年比+18.9%増)の2ケタ成長を計画している。OBCは次年度以降に売上高に振り替えられる前受収益の残高が前年比+17%の25億円増となっており、このまま自然体で2ケタ成長を目指すと判断している。

 OBCの業績を引っ張っているのはクラウド事業。2019年度のクラウド事業の売上高は53.6億円だったものが、2020年度は80.1億円と+49.6%増となっている。もちろん、オンプレミスの売上高が下落しているものの、クラウドに移行することによって月額課金での収益が増えていく。これまでは「奉行シリーズ」のERP(統合システム)を売切り販売し、保守費用で月額課金するビジネスモデルだったものが、販売費+保守費が月額で入ってくるクラウドになり売上規模が拡大するビジネスモデルに転換している。

■OBCの株価の行方は?

 OBCの時価総額は約4,900億円。ほかのクラウドIT企業のfreee(フリー)、マネーフォワード、ラクス、Sansanなども時価総額はきわめて高いが、OBCは業績から考えると割安だ。ほかのクラウドIT企業は予想PERが100倍を超えていたり、営業赤字だったりするものの、OBCの予想PERは43.4倍とそれほど割高感はない。OBCはこれからクラウド化がさらに進んでいき、売上規模が高まることを考えると割安感もある。

 経理・人事総務の統合システムを提供しているため、景気の波に影響をうける心配も少ない。心配な点は、新興のfreeeやマネーフォワードがどこまで伸びてくるか?freeeには時価総額ですでに抜かれており、株式市場ではfreeeの成長性を高くみている。

(画像1)OBCの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする