場所や時間を問わず、マンツーマンで英会話が学習できるオンライン英会話「レアジョブ英会話」を提供しているレアジョブ。フィリピン講師が約6,000名登録し、25分単位のレッスンを提供している。英語関連市場は約3,000億円と言われており、オンライン英会話市場はまだまだ小さいと言われている。レアジョブの業績と株価の行方は?
マンツーマンのオンライン英会話を展開するレアジョブ!オンライン語学市場拡大の波に乗る(2021年3月14日投稿)
■基本情報(2022年10月21日時点)
- 株価:919円(10年来高値:3,145円)
- 時価総額:89億円
- 予想PER:ー(利益ゼロの予想)
- PBR:3.91倍
- 予想配当利回り:0%
- 会計基準:日本基準
- 自己資本比率:34.6%
- 株主数:5,709人(2022年3月31日時点)
■レアジョブの業績は?
レアジョブの2023年3月期の第一四半期の売上高は14.7億円(前年同期比+11.5%増)、営業利益16百万円(前年同期は44百万円の黒字)と増収減益。レアジョブの売上総利益率は+59.7%(前年は+57.7%)。売上総利益8.8億円に対して、販管費が8.6億円のため、微益にとどまっている。
販管費が前年同期の7.1億円→8.6億円と+1.5億円の増加となっている。増加要因をみると、資格スクエア社の買収のれんの償却(+37百万円)、広告宣伝費+33百万円増、人件費+73百万円増となっている。販管費が+1.5億円増加しているものの、売上総利益が+1.3億円くらいしか増加していないため営業利益減となっている。
■レアジョブの現状は?
レアジョブはフィリピンからのマンツーマン英会話サービス。心配されるのは円安の影響だ。フィリピン人講師にはドル建てまたはフィリピンペソで報酬を支払っていると思われる。いっぽう、収益のほうは円建てで日本人から回収している。結果として、円安が業績に大きくマイナスに作用すると思われる。
おそらく、現在の為替状況を考慮してか、2022年10月1日以降の新規会員については、10%~25%の価格改定(値上げ)を決定している。建前的には「新機能実装によるもの」としているものの、円安の影響を直撃していると思われる。
■レアジョブの「PROGOS」とは?
レアジョブが力を入れているのは、英会話アセスメントツールの「PROGOS」だ。いわゆる、英会話テスト。日本国内ではTOEICが主流であり、その経済圏は500~1,000億円と言われている。TOEICのテキスト、対策スクール、アプリなどだ。「PROGOS」はそのTOEICに代わるものを目指しており、レアジョブはグループとして100~200億円の収益を想定している。
たしかに戦略としては面白いものの、長年使われてきたTOEIC文化を変更させるのはハードルが高い。企業の採用などでTOEICが活用されるケースが多く、そこのマインドチェンジが求められる。
■レアジョブの財務状況は?
レアジョブの自己資本比率は34.6%とそれほど高くない。その前提でレアジョブの財務の健全性を検証していきたい。レアジョブの2022年6月30日時点の現預金は30.8億円、ソフトウェア4.7億円、のれん8.2億円。有利子負債は約22億円。前受金(先払い受講料)は7.9億円の計上。現預金を31億円もっているものの、そのうち約6割は有利子負債によるもの。
のれんは2021年12月にfreeeから買収した資格スクエア社が多くを占めていると思われる。資格スクエア社は電子契約サービス「NINJA SIGN」やオンライン学習サイト「資格スクエア」を運営。ただ、買収時の純資産は9.6億円のマイナスであり、その企業を5.3億円で買収している。決算説明資料に資格スクエア社のことが記載されておらず、苦戦していることが予想される。もともと、利益が赤字の企業であり、立て直しができない限りはマイナスの影響だ。
■レアジョブの株価推移は?
レアジョブの時価総額は約90億円。EBITDAが前年同期比でマイナスになっており、事業の苦戦がわかる。円安によるマイナス要因は今後さらにでてくるのではないだろうか。円建てで先に受講料を徴収し、フィリピン人講師には後払いで支払う。
レアジョブで見ないのは資格スクエアの状況だ。従業員数は100名前後と思われるが、利益モデルがわからない。通常は黒字会社を買収して成長性を見せるものの、赤字会社は安く購入できるものの、株価へのプラス影響は限定的だ。むしろ、マイナスに影響する。
以 上