独立系のWiFiソリューション提供のファイバーゲート、規模拡大つづく!

 マンション・アパートなどの集合住宅向けにWiFiを導入する事業や観光地・商業施設向けにWiFiを導入するインフラビジネスをしているファイバーゲート。不動産管理会社などを通じてWiFi導入を大家さんと交渉して設置する事業モデルをおこなっている。サービス利用料やレンタル料などのストック売上高と電気通信工事などのフロー売上高の2つの収入が収益モデル。ファイバーゲートの業績と株価の行方は?

賃貸向けWi-Fiのファイバーゲート(9450)、コロナ影響下でも業績予想上方修正!(2020年7月4日投稿)

■基本情報(2022年5月6日時点)

  • 株価:1,217円(10年来高値:2,680円)
  • 時価総額:251億円
  • 予想PER:21.0倍
  • PBR:9.24倍
  • 予想配当利回り:0.32%
  • 自己資本比率:24.9%
  • 会計基準:日本基準

■ファイバーゲートの業績は?

 ファイバーゲートの2022年6月期の第二四半期の売上高は45.8億円(前年同期比+9.7%増)、営業利益は+7.3億円(前年同期比△15.0%減)の増収減益。ファイバーゲートの売上総利益率は+49.8%(前年は+52.3%)、営業利益率は+16.0%(前年は+20.7%)と若干悪化傾向となっている。

 ファイバーゲートのP/Lを見ると、販管費が13.2億円(前年)→15.5億円(今期)と約2.3億円の増加となっており、減益要因となっている。販管費増の詳しい説明はないものの、決算説明資料を読むと、減価償却費増と人件費増が要因と思われる。

■ファイバーゲートの事業内容は?

 ファイバーゲートは集合住宅や商業施設・観光地などにWiFiを提供するサービスを行っている。競合他社としては、アルテリアネットワークス、フリービットグループのギガプライズ、ブロードエンタープライズなどが上場企業では競合にあたる。また、集合住宅向けであれば、テナントの借主がWiFiやインターネット回線を引くよう促すケースもあるため、光回線や大手通信キャリアなども競合にあたる。

マンション向けIoTサービスのブロードエンタープライズ、WiFiとスマートロック!(2022年5月8日投稿)

集合住宅向けネット接続サービスのギガプライズ(3830)、成長継続!?(2020年7月4日投稿)

 売上高の構成をみると、集合住宅向けが約83%、商業施設などが16%、残りその他となっている。集合住宅向けは47.7万戸に提供しており、年間+10万戸ほど増えている計算になる。新築マンションであれば、インターネット回線の導入が必須となっており、まだまだ市場は増えていく可能性は高い。古いマンション・アパートも大家が空き家対策として無料のWiFiを導入するケースが増えている。

■売上高の中身は?B/S状況は?

 ファイバーゲートの売上高の内訳は、フロー売上高として通信機器の販売、電気通信工事、Wi-Fi設定サービス。ストック売上高としては、サービス利用料、機器レンタル収入となっている。

 ファイバーゲートは有形固定資産として51.4億円の通信設備を保有している。他社の通信回線を流用する仕組みだけでなく、自社で通信設備を保有していることが強みであり、弱みであると思われる。設備投資負担が重いため、借入金が約45億円ほどあり、投資キャッシュフローで設備投資の支出が大きく計上されている。利益がでると、どんどんキャッシュがたまるビジネスモデルではない点に注意が必要だ。

■ファイバーゲートの株価推移は?

 ファイバーゲートは2018年3月に東証マザーズに上場。その当時の株価は1株あたり500円ほどで、現在の半値以下。2018年度からすでに売上規模は2倍以上、経常利益は3倍以上になっているものの、株価はそれほど上昇していない。

 ファイバーゲートの成長性はそれほど悪くないものの、稼いだお金の多くが設備投資に回っている形だ。営業キャッシュフロー以上に設備投資に回しているため、配当性向も非常に低い。従業員数は221名と増加しており、販管費の負担も重くなっている。なお、ファイバーゲートの平均年収は486万円とあまり高くない。

 ファイバーゲートは表面的な利益率や成長性は悪くないものの、設備投資型ビジネスのため、あまりキャッシュが残るビジネスモデルではないので注意が必要だ。

(画像1)ファイバーゲートの株価推移

以 上

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