マンション向けIoTサービスのブロードエンタープライズ、WiFiとスマートロック!

 賃貸マンション向けに全戸一括型インターネットサービス「B-CUBIC」の提供やIoTデバイスのインターフォンシステム「BRO-LOCK」を提供しているブロードエンタープライズ(以下、ブロードエンタ)。収益認識基準の変更により、2022年度の表面的な業績は悪化しているように見える予定。ブロードエンタの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年5月6日時点)

  • 株価:1,026円(10年来高値:3,090円)
  • 時価総額:30億円
  • 予想PER:37.1倍
  • PBR:1.4倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:47.6%
  • 会計基準:日本基準

■ブロードエンタの業績は?

 ブロードエンタの2021年12月期の売上高は25億円(前年比+57.4%増)、営業利益5.7億円(前年比+128.8%増)の増収増益。売上総利益率は+63.9%(前年は+63.4%)、営業利益率は+22.9%(前年は+15.7%)。

 2022年度から収益認識基準変更を適用する。2021年12月の新しい収益認識基準で表示すると、売上高は15.9億円、売上総利益8.2億円、営業損失△2.0億円となる。WiFi契約は月額のサブスクリプション型のため、従来の収益認識基準では契約月に一括売上計上していたものが、今後は契約月の到来時に売上計上するように変更される。

■ブロードエンタのビジネス内容は?

 ブロードエンタは集合賃貸住宅にWiFiを一括導入するインターネットサービス「B-CUBIC」を展開している。1戸あたり月1,000円を大家(貸主)から徴収するビジネスモデル。現在の導入戸数は13.5万戸のため、月間1.35億円の安定収入が入る計算となる。大家としては、空き家対策として賃貸物件の魅力を嵩上げするツールとして活用できる。すでに大東建託パートナーズなどの賃貸物件ではインターネット無料の物件が少なくない。

 もう一つのサービスは「BRO-LOCK」というスマートフォンで対応できるIoTインターフォンシステム。世の中の流れとして、インターフォンとスマートフォンをつなぎ、不在時でも宅配便などに対応できる流れとなっている。最近ではAmazonなどでドアホン(WiFi経由でのインターフォン、スマホで会話可能)を1~2万円くらいで販売しており、「BRO-LOCK」は賃貸アパート・マンション向けの集合住宅用のもの。世の中の流れとして、今後は普通のインターフォンから「BRO-LOCK」のようなIoT機器に置き換わってくると思われる。

 「BRO-LOCK」の導入済み戸数は1,137戸。平均戸数20戸で計算すると、約57棟ほどに導入されていると思われる。2020年度からスタートしたサービスであり、累計導入戸数は約1,300戸ほどで約1億円ほどの売上高を計上していると思われる(平均単価9万円/戸で計算)。

■ブロードエンタの中期計画

 ブロードエンタは2022年12月期の売上高34.3億円、2023年12月期は48.2億円、2024年12月期は67.6億円の売上規模を計画している。かりに計画どおり売上規模が増えていった場合、2024年12月期は売上高67.6億円、売上総利益は34.1億円、営業利益14億円、営業利益率+20%前後くらい期待できるのではないだろうか。その場合の時価総額は予想PER20~30倍で計算すると200億円~300億円を期待できる。

 テクノロジーの発展にともない、インターフォンが映像で見えるようになり、インターネットとつながるIoTとなり、外出中でも対応できるようになる未来は必須。マーケットとしては確実に需要が増える分野であるものの、ブロードエンタがどこまでシェアを取ることができるかにかかっている。

■さらなるIoTサービスの展開

 ブロードエンタは、スマートロック、「BRO-LOCK」、スマートカメラを提供しており、今後はスマート宅配BOXやスマートサイネージの展開を考えている。ブロードエンタのB/Sを見ると、ほとんど有形固定資産がないため、ファブレスメーカーとしてIoT機器の製造は外注に委託していると思われる。

■ブロードエンタの株価推移は?

 ブロードエンタの時価総額は約30億円。株価指標的に割高感はない。2021年12月に東証マザーズに上場した新しい企業であり、年明けの市場の大きな変動に巻き込まれた形で株価は大きく下がっている。公募価格は2,790円のため、いまは公募価格の半値以下の状態だ。

 集合住宅向けのインターネットサービスの一括導入をしている企業は少なくなく、上場企業ではフリービット子会社のギガプライズやアルテリアネットワークス、ファイバーゲートなど競合他社も少なくない。IoTデバイスもさまざまな企業が参入しており、これからの新しい産業であり、ブロードエンタがいかに差別化できるかにかかっている。ブロードエンタの従業員数は120名。今後の成長に期待したい。

住宅・企業向けに通信・ネットサービス提供のアルテリアネットワークス!堅調な成長つづく(2020年7月5日投稿)

集合住宅向けネット接続サービスのギガプライズ(3830)、成長継続!?(2020年7月4日投稿)

賃貸向けWi-Fiのファイバーゲート(9450)、コロナ影響下でも業績予想上方修正!(2020年7月4日投稿)

(画像1)ブロードエンタープライズの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする