企業向けの通信ネットワークや集合住宅(分譲マンション、賃貸)にインターネット接続サービスを提供するアルテリアネットワークス。2018年12月に上場し、株価は堅調に上昇中。新型コロナウイルスの影響による在宅勤務・リモートワークや5Gへの期待など、アルテリアネットワークスの追い風は少なくない。足元の業績も好調。同社の事業に死角はないのか?
■基本情報(2020年7月3日時点)
- 株価:1,945円
- 時価総額:973億円
- 予想PER:17.9倍
- PBR:4.69倍
- 予想配当利回り:2.77%
- 自己資本比率:22.8%
■アルテリアネットワークスの堅調な業績!
アルテリアネットワークスは企業向けに通信ネットワーク(イントラネット、VPNサービス、インターネット等)と分譲マンション等の集合住宅向けのインターネット接続サービスを主に提供している。アルテリアネットワークスの2020年3月期の売上高は515億円(前年比+4.6%)、営業利益86.7億円(前年比+16.1%)と増収増益。決算説明資料によると、営業利益は前年比+16.1%となっているものの、株式上場した前期のIPO費用6億円を除くと、実質は+7%ほどの成長と補足している。
アルテリアネットワークスの成長力は前年比プラス1ケタほどであるものの、営業利益率は+10%を超えている。決算説明資料では開示されていないものの、継続課金的にサービス使用料が毎月入ってくるビジネスモデルである点が何より魅力的だ。この継続課金(サブスクリプション型)の売上高比率は開示されていないものの、ビジネスが似ているギガプライズのストック収入比率55%は参考になるはずだ。
■アルテリアネットワークスの売上高内訳は?
アルテリアネットワークスの2020年3月期の売上高内訳は、インターネット(光インターネット接続サービス)が207億円、ネットワーク(専用線サービス、VPN接続サービス)が139億円、マンションインターネット(全戸一括型光インターネット接続サービス)が109億円、その他37億円となっている。正直なところ、決算説明資料を見ても、個人投資家としてはアルテリアネットワークスのビジネス実態がわかりにくい。
個人向けに提供しているインターネット接続サービスも、マンションが一括契約している場合はマンションインターネットのカテゴリにカウントされ、それ以外はインターネットにカウントされる。ここ数年の新しい分譲マンションであれば、全戸一括型の光インターネット回線が導入されているケースが一般的になっていて、これから建設されるマンションでもほぼ必ず導入されるだろう。
アルテリアネットワークスは2020年3月末時点で、分譲向け55万戸、賃貸向け16.6万戸の継続課金の戸数を保有している。今後も在宅勤務(テレワーク、リモートワーク)などの広がりによりマンション向けの需要は拡大していく。そのネットワークを支えるために企業向けイントラネットやVPNサービスの導入も必要になる。アルテリアネットワークスにとっては大きな追い風だ。
■アルテリアネットワークスの株価推移は?
アルテリアネットワークスの株価推移は堅調だ。現在の時価総額は約1,000億円。このまま契約件数が増え続ければ、安定的な業績拡大がつづく。決算資料をみると、アルテリアネットワークスの設備投資は小さくなく、言い換えれば、競合が参入してくる障壁はそれほど低くない。通信キャリアとの事業のすみ分けもうまくできている。マンション向けの通信サービスは、通信料金の値下げが発生した場合、アルテリアネットワークスにもしわ寄せ(値下げ圧力)が来る可能性がある点には留意が必要だ。
以 上