金融商品仲介業者外務員(IFA)のサポート企業、アイ・パートナーズ、事業の行方は?

 金融商品仲介業者外務員(IFA)という委託契約のフリーランスをサポートしているアイ・パートナーズフィナンシャル(以下、アイ・パートナーズ)。そもそも、IFAとは一般顧客の老後資金、資金運用、ライフプランなどの相談にのる金融商品を取り扱う専門家。資産アドバイザーだ。アイ・パートナーズは独立したIFAをサポートする体制を提供している。

■基本情報(2022年9月30日時点)

  • 株価:507円(10年来高値:2,475円)
  • 時価総額:17.3億円
  • 予想PER:25.4倍
  • PBR:2.13倍
  • 予想配当利回り:1.08%
  • 自己資本比率:71.3%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:760人(2022年3月31日時点)

■アイ・パートナーズの業績は?

 アイ・パートナーズの2023年3月期の第一四半期の売上高は7.0億円(前年同期比△27.9%減)、営業損益△37百万円(前年同期は+45百万円の黒字)と減収赤字転換。アイ・パートナーズの売上総利益率は+22.2%(前年同期は+24.9%)。

 アイ・パートナーズの粗利(売上総利益)はそれほど高くない。そもそも、アイ・パートナーズの従業員は36名しかおらず、業務委託しているコンサルタントは個人事業主などと外部業者。アイ・パートナーズは仲介手数料の一部をもらっているという位置づけだ。

■アイ・パートナーズの事業内容は?

 アイ・パートナーズに所属する外部のIFAコンサルタントは2022年6月末時点で214名。順調に増えていっているものの、金融仲介の手数料は減少している。1人あたりのコンサルタントの売上高が減っていることが要因だ。具体的なアイ・パートナーズとコンサルタントの手数料分担の割合が開示されておらず、決算説明資料からはその点が見えない。

 アイ・パートナーズが仲介する金融資産残高は増えているものの、おそらく契約一時手数料の割合が大きいと思われる。よって、当年度の契約金額や商品によって、アイ・パートナーズの手数料に大きく左右すると思われる。

 アイ・パートナーズの売上高は、①業務委託報酬(金融商品の仲介手数料)、②システム使用料、の2つ。システム使用料は固定費としてコンサルタントから徴収していると思われる。よって、IFAコンサルタントの増加により売上高は増加する。

 アイ・パートナーズが提供するのは、システムとオフィス利用が大きい。現在、全国に21か所のアイ・パートナーズのオフィスを展開しており、所属コンサルタントは使用可能だ。

■アイ・パートナーズの財務状況は?

 アイ・パートナーズの2022年6月末のB/Sをみると、現預金は6.2億円、有利子負債はない。財務的には健全であるものの、本当に成長するビジネスモデルであるか検証が必要だ。

 IFAは中立的な立場で顧客に寄り添う資産アドバイザーで将来的な成長が期待される。ブロードマインドなど成長しているグロース銘柄もある。今後は生保、住宅ローン、相続など資産アドバイザーが活躍する機会も増えていくだろう。会社員の退職金が減ったり、企業年金から確定拠出型年金に移行しているケースも増え、個人で将来の金融資産を守っていく必要がある。

資産アドバイザー(IFA)のブロードマインド、クレディセゾンと資本業務提携も!(2022年9月25日投稿)

資産アドバイザーのブロードマインド、無店舗型の保険ショップ!?(2021年9月21日投稿)

■アイ・パートナーズの株価推移は?

 アイ・パートナーズの時価総額は約17億円。前年比で売上高が減少しており、危機的な状況だ。ビジネスモデル自体が継続可能か検証が必要。上場時はバラ色の将来を描いていても、実態はそれほど将来性があるわけではないケースも少なくない。

 アイ・パートナーズの2023年3月期の業績予想は、売上高41.4億円(前年比+8.9%増)、営業利益1.0億円(前年比△11.5%減)とそもそも増収減益。さらに、売上高が前年割れしたら損益は赤字である可能性が高い。

(画像1)上場してから下落がつづくアイ・パートナーズの株価推移

以 上

 

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