日本製鉄系の新日本電工、EV向けリチウムイオン電池は?

 鉄鋼向け合金鉄最大手の新日本電工。鉄鋼材料の鉄以外の材料である合金鉄(フェロアロイ)を製造している合金鉄メーカー。鉄鋼業界は現在、苦戦しているものの、新日本電工は電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池の材料を生産している点は注目のポイント。電気自動車へのシフトが段階的に進む中、新日本電工が注目される機会はあるのか?

■基本情報(2020年5月15日現在)

  • 株価:148円
  • 時価総額:217億円
  • 予想PER:-(新型コロナウイルスの影響で未定)
  • PBR:0.4倍
  • 予想配当利回り:未定(2019年度の実績は0%)

■注目はリチウムイオン電池材料・・・

 新日本電工の注目はリチウムイオン電池材料を製造していること。しかしながら、同社の主力事業はマンガンなどの合金鉄で、売上高459億円と全体の65%を占めている(2019年の全体の売上高は705億円)。

 リチウムイオン電池材料の機能材料事業の売上高は115億円で、全体の16%にすぎない。新日本電工におけるリチウムイオン電池材料の事業シェアを見ると、電気自動車の普及が加速して需要が出ても、それほど損益に影響はでない可能性が懸念される。つまり、電気自動車の普及の追い風にそれほど乗れないかもしれない。

■低迷する新日本電工の業績!

 新日本電工の業績は低迷している。2010年度は売上高720億円、営業利益は102億円(営業利益率は14.1%と高収益率)。2010年度から段階的に業績は低迷し、2015年は売上高829億円、営業利益は20.4億円(営業利益率2.4%)。2019年度は売上高705億円、営業利益は△55.7億円となっている。

 2019年度はマンガン合金鉄の市況の悪化により、棚卸資産評価損を48億円計上しているものの、この影響を除いても実質は赤字。電気自動車の普及加速によるリチウムイオン電池材料の需要増を期待したいものの、全体に占める事業規模が小さすぎるという点が悩ましい。

■新日本電工の株価推移は?

 新日本電工の株価は右肩さがり。2018年に天井をつけてから、下落トレンドがつづいている。いっぽうで、2016年半ばの抵抗線のラインまで株価は下がり、時価総額も217億円(PBR:0.4倍)と買いやすい水準まで下がってきている。

 現在は日本製鉄、JFE、神戸製鋼などの大手鉄鋼メーカーの株価も軒並み下がっており、それに引っ張られている株価とも言える。株価チャートが横ばいから反転する局面まで様子をみたほうが無難か。

以 上

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