大阪に本社のある阪和興業。売上高2兆円前後の阪和興業の時価総額は700億円程度。株価の低迷がつづけている。売上高は順調に伸びてきていたものの、営業利益は230~280億円前後で停滞。大手鉄鋼メーカーの業績が低迷するなか、鉄鋼商社の阪和興業も原材料の低迷する市況に苦戦している状況だ。阪和興業の株価回復はいつになるのか?
■基本情報(2020年5月15日時点)
- 株価:1,733円
- 時価総額:734億円
- 予想PER:-(未公表)
- PBR:0.43倍
- 予想配当利回り:-(未公表)
■2019年度は投資先の減損と有価証券評価損計上!
阪和興業の業績は、2019年12月末までは堅調に進んでいたものの、第4四半期に投資先の減損△273億円と投資有価証券評価損△53億円を計上。結果、2019年度としては売上高1.9兆円、営業利益273億円、当期純利益△137億円となった。
オリンピック関連の工事が一服したことによる需要減や商品市場の市況価格の低迷などがモロに直撃した業績結果となった。いっぽうで、2019年度にしっかりと減損や投資有価証券の評価損を計上したことにより、翌期以降への事業リスクを2019年度ある程度消化したと考えられる。
■日本・アジアに偏った地域セグメント!
専門商社である阪和興業は、海外との取引も多い。しかしながら、海外から日本への輸入がメインで、地域別の売上高をみると、日本70%、アジア25%と合計で95%を占めている。現在の売上高2兆円を増やしていくためには、新規事業または他地域への事業拡大が必須だ。
2019年度に減損を計上した南アフリカのSAMANCOR社(クロム鉱石やフェロクロムの生産・販売)には、持分法出資として事業に参画。結果として、これまでに△349億円の減損を計上と大きな失敗をしたものの、阪和興業として新たな成長へのチャレンジとして大きな経験となった。
■阪和興業の株価チャートは?
阪和興業の株価は下落トレンドがつづいている。2018年1月に株価5,570円を天井に、ほぼ2年間は下落している。すでに株価は最高値から3分の1程度の1,700円まで落ちている。時価総額的には割安な水準に入ってきた。
日本製鉄、JFEなどと同様に鉄鋼関連銘柄は大きく時価総額が下がっているものの、下値が見えない状況。上昇トレンドを見極めたうえで、少しずつ買いポジションを増やしていくのが妥当か。
以 上