前年比減益のデコルテ・ホールディングス、出店加速で固定費増がひびく!

 フォトウェディングや成人式フォトサービス「NALU(ナル)」などライフイベントの写真サービス事業を展開しているデコルテ・ホールディングス(以下、デコルテ)。増収であるものの、出店による固定費増で減益がつづく。時価総額は40億円を割っており、上場時高値から半値以下まで株価は下落。今後の業績と株価の行方は?

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フォトウェディングのデコルテ・ホールディングス、全国21店舗展開!(2021年10月9日投稿)

■基本情報(2023年8月4日時点)

  • 株価:695円(10年来高値:1,680円)
  • 時価総額:39億円
  • 予想PER:6.6倍
  • PBR:0.77倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:34.0%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:3,453人(2022年9月30日時点)

■デコルテの業績は?

 デコルテの2023年9月期の第三四半期の売上高は44.9億円(前年比+10.2%増)、営業利益7.8億円(前年比△39.0%減)の増収減益。デコルテの売上総利益率は+40.8%(前年は+44.2%)、営業利益率は+17.3%(前年は+20.6%)と3.0ポイントほど下がっている(営業利益は固定資産譲渡益を除いている)。

 デコルテの売上総利益は前年の18.0億円→18.3億円と+0.3億円の増加、販管費は9.6億円→10.6億円と+1.0億円の増加となり、差し引きで△0.7億円の営業利益悪化である8.4億円→7.8億円となった。

 増収であるものの営業利益が悪化している要因としては、決算説明資料によると、出店加速による出店コスト増としている。前年は+2店舗の出店に対して、今期は+8店舗の出店となったとしている。ただ、売上高が前年比+10.2%増えているものの、売上総利益は+1.7%しか増えていないため、出店による影響がどこまであるのか不明点がある。

■営業利益の変動について

 デコルテの業績をウォータフローチャートで表現している。それをみると、減価償却費(IFRS基準では賃借料を減価償却費で表現)が+1.4億円の増加、広告宣伝費が+0.7億円の増加などが利益減の影響となっている。

 新規出店して営業利益が減るということは、顧客の獲得がうまくいっていない可能性がある。既存店売上高などを表現していないため、デコルテの実力値がイマイチ見えない。

 販管費の推移を前期と比較しているグラフをみると、店舗は前年にくらべて+7店舗あるものの、人件費がそれほど増えていないことが気になる。顧客獲得に苦戦していないだろうか?

■売上動向について

 2023年9月期の前年比の推移をみると、売上高は前年比+9.6%増であるものの、単価上昇が+15.7%、件数は前年の94.8%の水準にとどまっている。特に3月~5月が大きく苦戦していた。

 キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+10.0億円、投資CFは有形固定資産や無形資産の支出により△5.9億円のマイナス、財務CFは短期借入金の返済などにより△8.4億円のマイナスとなっている。

■デコルテの財務状況は?

 デコルテの2023年6月30日時点の財務状況をみると、現預金は9.4億円、有形固定資産は12.5億円、使用権資産(リース資産)は50.3億円、のれん56.4億円となっている。負債は、有利子負債が約30億円、リース負債が48億円となっている。財務的には健全であるものの、のれんの大きさが気になる。

■デコルテの中途採用

 デコルテの中途採用をみると、フォトグラファー、フォトプランナーなど募集している。給与は月給18万~35万円となっている。気になるのは、賞与は入社後1年後より支給という点だ。賞与支給されないと、年収は250~400万円くらいと非常に低い。

 デコルテは自社でデコルテジョブというサイトをつくって採用活動をしている。事業の大きな課題はこれだけ拡大しているものの従業員をしっかり確保できるかどうか。アルバイト・パートは時給1,100円くらい。

 デコルテの2022年6月末のフォトグラファー数は142名、メイクアップアーティストは157名。今回の2023年6月末のフォトブラファー数は158名(+16名)、メイクアップアーティスト数は161名(+4名)。各四半期の人数を追っていくと、かなり変動が大きい。離職率がかなり高いのではないだろうか。

■デコルテの株価推移は?

 デコルテの時価総額は約40億円。年間営業利益9.5億円の企業としては株価は割安だ。正直、今期は下方修正しておりデコルテの実力値が見えないというのが正直なところ。前期は固定資産売却益が4.4億円あり、実態以上に業績がよく見えていた。今期のそのイレギュラーな利益が剥落し、実態ベースになったものの、増収減益と本当に稼げる企業か見えないというのが正直なところだ。

 出店しているところが稼げるようになれば収益力も上がってくるのではと期待する部分もあるものの、もう少し株価が安定するのを待ちたいという思惑もあるだろう。

(画像1)デコルテの株価推移

以 上

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