ネットショップ作成支援のBASE、広告宣伝の強化で営業赤字見通し!

 プログラミング不要で簡単にネットショップの立上げができるサービスを展開しているBASE(ベイス)。2020年12月期は新型コロナウイルスの感染拡大などにより事業環境は好調で、4Q(10月~12月)にはテレビCMを積極的に展開しても業績予想上振れという結果となった。2021年12月期は流通総額(GMV)と売上総利益の成長を重視し、先行投資を積極的におこない営業利益は赤字の見通しだ。BASEの業績と株価の行方はどうなるのか?

無料ネットショップ作成サービスのBASE(4477)、流通額拡大による決済手数料で稼ぐ!株価好調(2020年11月15日投稿)

■基本情報(2021年2月12日時点)

  • 株価:12,240円(10年来高値:17,240円)
  • 時価総額:2,685億円
  • 予想PER:-(赤字予想)
  • PBR:16.55倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:56.9%
  • 会計基準:日本基準

■BASEの業績は?

 BASEの2021年12月期の売上高は82.9億円(前年比+115.3%増)、営業利益8.0億円(前年は△4.4億円の赤字)と増収の黒字転換となった。新型コロナウイルスの影響により、対面販売からネット販売に世の中の流れが変わり、無料ネットショップ作成支援のBASEのサービス利用者が大きく増えた。BASEは株高のなかの2020年9月24日に130億円の増資を実施。2020年はBASEにとっては事業環境が大きな追い風となったと言えるだろう。

 BASEの売上総利益率は60.2%(前期は58.0%)と高く、BASE自身も経営指標のKPIとして流通総額(GMV)と売上総利益額を重視している。

■心配な売上成長の鈍化の兆し!

 BASEは新型コロナウイルスの感染拡大や1回目の緊急事態宣言のあった2020年4月から爆発的な売上高の増加となった。2020年7月以降は少しずつ流通総額(GMV)が落ちたことにより売上高が減少している状況だ。成長企業は四半期ベースでしっかり売上高を伸ばすものの、BASEで懸念されるのは一時的な特需での売上高増ではないか、という点だ。2020年2Q(4月~6月)以降はショップ数は5万店舗で横ばいがつづいている。

 なお、BASEのビジネスモデルは、BASEの提供する無料ネットショップサービスでネットショップを営業してもらい、販売時に「BASEかんたん決済」を使用してもらう。「BASEかんたん決済」はクレジットカードや通信キャリア決済、銀行振込などが利用でき、販売額の「6.6%+40円」を店舗に負担してもらう仕組みだ。

■成長のためのテレビCM投入!競合STORESの存在

 BASEは2020年4Q(10月~12月)より香取慎吾氏を起用したテレビCMを積極展開している。BASEの販管費の推移をみると、2020年4Qの広告宣伝費は9.2億円が計上されている。BASEが早いペースでの成長を意識しているのは、BASEと同じビジネスモデルを展開しているのは非上場会社のヘイ(hey)の存在だ。

 ヘイは2021年1月にストアーズ・ドット・ジェーピー、コイニー、クービックの3社を合併してできた会社。ヘイは「STORES」という無料ネットショップ作成支援サービスを展開している。「STORES」はBASEと同様に月額料金などは基本的に無料で決済時に手数料を受け取るビジネスモデル(プランによっては月額1,980円)。しかも、決済手数料はBASE(6.6%+40円)より低い5%だ(月額1,980円の場合は決済手数料3.6%とさらに安い)。なお、「STORES」もテレビCMをスタートして認知度向上をはかっている。

■BASEの株価の行方は?

 BASEの時価総額は約2,700億円。2020年9月の増資時には1株10,810円で130億円の調達をしている(現在の株価は1株12,240円)。一つの目安として、10,810円を割る水準で動くと、需給バランスは良くないため、下落トレンドに流れる可能性は高い。もうひとつは直近安値の8,000円のラインが需給バランスの目安となる。8,000円を割ると、ほとんど含み損を抱えた株主となり上値は重くなるだろう。

 いまの株式市場は、メルカリ、freee、ラクス、JMDC、Sansanなど東証マザーズ銘柄の時価総額は高く評価されており、海外からの買い圧力は大きい。当面は業績と大きく乖離した株価がつづく可能性も否定できない。いずれは業績を反映した時価総額になると思われるが、いまの状況がどこまで続くかは誰にもわからない。BASEから新しい銘柄に注目が移ったとき、BASEの株価が大きく崩れる可能性がある点に留意が必要だ。

(画像4)BASEの株価推移

以 上

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