Reebok取り込んだEC企業のロコンド、黒字定着も成長の行方は?

 靴を中心にLOCONDO.jpなどのECサイトでアパレルを販売しているロコンド。アディダスから日本国内のReebok事業を伊藤忠商事と一緒に事業譲受し、規模を拡大。ただ、当初の計画からReebok事業は大きく未達となり、業績予想は取扱高255億円(Reebok:25億円)→235億円(Reebok:13億円)に大きく下方修正。今後のロコンドの株価と業績の行方は?

靴の通販サイト運営のロコンド、業績は堅調!株価も堅調!(2022年7月23日投稿)

■基本情報(2023年1月20日時点)

  • 株価:980円(10年来高値:4,180円)
  • 時価総額:112億円
  • 予想PER:11.9倍
  • PBR:2.0倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:57.7%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,482人(2022年2月28日時点)

■ロコンドの業績は?

 ロコンドの2023年2月期の第三四半期の売上高は72.6億円(前年同期比△0.2%減)、営業利益7.9億円(前年同期比+10.6%増)の減収増益。ロコンドの取扱高は171億円(前年同期比+9.6%増)、売上総利益率は+35.7%(前年は+37.8%)、限界利益率は+17.3%(前年は+16.0%)。取扱高は伸びたものの、売上高は前年割れとなった。受託販売と自社買取販売の構成が影響していると思われる。

 Reebok事業の買収によりおそらく取扱高は6億円くらいは加算されたのではないだろうか。言い換えると、Reebok事業の加算がなければ取扱高の伸びは1ケタ台、売上高は大きな前年割れになっていただろう。

■ロコンドの事業状況は?

 ロコンドは自社ECサイトのオーガニックな成長からECサイト買収による規模拡大に戦略を切り替えている。2年前はユーチューバーを起用したD2Cブランド(自社販売)に力を入れていたものの、現在はD2CブランドのIRでのPRは控えめになっている。

 Reebok事業を伊藤忠商事と一緒に取り組むことにより成長期待あるものの、Reebok事業単独の収益状況が開示されておらず、どこまで期待してよいか見えない。ECのアパレルでは、ZOZOや楽天、Amazonのファッションサイトが競合となり、巻き返しが難しい状況になっている。グロース銘柄として成長感を出すには事業(企業)買収が解決のキーになる。

■ロコンドの財務状況は?

 ロコンドの販管費をみると、広告宣伝費を前年の10億円→6.5億円と△3.5億円の削減をしている。いっぽう、地代家賃が6.8億円→10.0億円と+3.2億円の増加となっている。新倉庫とReebokのリアル店舗の家賃が重荷になっている。ECの強みは固定費を抑えて、その分、安い売価で集客すること。リアル店舗を持つことでどうなるのか?

 ロコンドの2022年11月30日時点の財務諸表をみると、現預金は35.6億円(2022年8月末時点:37.4億円)、商品20.7億円(同:8.3億円)と在庫が大きく増加。有利子負債は6.5億円(同:0円)と財務状況は健全であるものの、悪化傾向となった。ここもReebok事業の買収が反映していると思われる。

■気になるアクティブユーザー数の減少!

 ロコンドで気になるのは、アクティブユーザー数が減少トレンドになっている点。D2Cの需要が一巡したと理由付けしているものの、D2Cを通してアクティブユーザー数を増やすとう戦略がうまくいっていないことが見て取れる。

■ロコンドの株価推移は?

 ロコンドの時価総額は約110億円。しっかり黒字がでている企業であり割高感はない。いっぽう、グロース感が出ておらず、株価はグロース銘柄の企業価値の評価ではない。株主数も6,000人を超えており、新たに買い手が集まるというよりも、需給で株価があがる雰囲気はしない。2020年に株価が暴騰したものの、高値でつかんだ投資家の売が断続的につづきそうだ。

 やはり、心配になるのはReebok事業の加算による在庫増。かなり滞留している商品が多く、いかに在庫を処分するか、または減損するかがポイントになりそうだ。ロコンドは受託販売がメインと思われるが、Reebok事業の譲受にともない靴メーカーとしての事業比率が大幅に増加したととらえてよいだろう。

(画像1)ロコンドの株価推移

以 上

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