プロジェクト管理ツール「backlog」のヌーラボ、今後の行方は?

 プロジェクト管理ツール「backlog」やビジュアルコラボレーションツール「Cacoo」のデジタルツールを提供しているヌーラボ(nulab)。世の中でSlack、Microsoft Teamsなどのグループウェアなどツールがあふれる中、日本からChatworkなどと同様に「backlog」が提供されている。ヌーラボがプロジェクト管理の分野では日本では知名度が高い。

■基本情報(2025年2月7日時点)

  • 株価:795円(10年来高値:1,969円)
  • 時価総額:51億円
  • 予想PER:17.9倍
  • PBR:3.2倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:43.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:2,855人(2024年3月31日時点)
  • 事業価値:21億円

■ヌーラボの業績は?

 ヌーラボの2025年3月期の第二四半期の売上高は20.2億円(前年比+16.4%増)、営業利益3.7億円(前年比+56.8%増)の増収増益。ヌーラボの売上総利益率は+70.3%(前年は+71.8%)、営業利益率は+18.6%(前年は+13.8%)と改善している。

 ヌーラボの売上総利益は前年の12.5億円→14.2億円と+1.7億円の改善、販管費は前年の10.0億円→10.4億円と+0.4億円の増加となり、営業利益は前期比+1.3億円の改善となった。

■ヌーラボの事業内容は?

 ヌーラボの柱となるサービスは「backlog」というプロジェクト管理ツール。従来のExcel管理から脱却し、プロジェクト全体を管理するサービスを提供している。主に、タスク管理、進捗管理、ファイル管理など。

 現在の有料ユーザー数は140万人(2021年12月時点は97万人)。有料契約数は1.8万件(backlogは1.4万件)、しかしながら、2021年からの推移でみると、2021年12月時点の「backlog」の有料契約数は12.8千契約、2024年9月時点で14.4選契約。いっぽうで、「backlog」以外のサービスの契約数は減っている。

■backlogの料金体系は?

 「backlog」の料金体系は、プラン別の基本料金は異なるものの、1ユーザあたり月額330円。300名くらいのユーザー数を想定すると、月額9.9万円(年間で約119万円)。大手企業であれば、十分利用できる価格帯だ。利用企業としては、トヨタ自動車、経済産業省、キリン、伊藤忠商事、KDDIなど。

■ヌーラボの財務状況は?

 ヌーラボの2024年9月末時点の財務状況をみると、現預金は30億円、ソフトウェア2.2億円。負債をみると、有利子負債は3百万円、サブスクリプションモデルの前受金が16.6億円となっている。キャッシュフロー的には前受金により安定した状況だ。

 キャッシュフロー計算書をみると、営業CFは+5.5億円、投資CFは△38百万円となり、現預金は30億円となっている。

■ヌーラボの株価推移は?

 ヌーラボの時価総額は約50億円。サブスクリプションモデルで安定的に稼ぐビジネスモデルで、解約率も高くない。いっぽうで、すでに1.4万の契約社数(ユーザー数は140万)を抱えており、これからの成長性には疑問もある。日本国内でプロジェクト管理ツールは多数あり、そのなかで圧倒的な存在になった場合も、ユーザー数は300万人は難しいのではないだろうか。

 今後の成長余地の規模感を考えると、売上高100億円を超えるビジネスになるのは難しいのではないだろうか。比較となるのはチームスピリット。チームスピリットの時価総額は70億円であるものの、株価は低迷している。チームスピリットは成長性の鈍化が嫌気されている。

工数管理「TeamSpirit」展開のチームスピリット、生産性向上のデジタルツールとなるか?(2023年1月14日投稿)

以 上

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