フォトウエディングサービスを提供しているデコルテ・ホールディングス(以下、デコルテ)。前年比+30%の成長を目指すフォトサービスのデコルテ。フォトサービスで売上高は70億円が見えている。また、収益性も高く、コロナ禍でもフォトウェディングの需要は衰えなかったものの、株価がさえない。今後のデコルテの業績と株価の行方はどうなるのか?
フォトウェディングのデコルテ・ホールディングス、全国21店舗展開!(2021年10月9日投稿)
■基本情報(2023年6月9日時点)
- 株価:805円(10年来高値:1,680円)
- 時価総額:45億円
- 予想PER:5.5倍
- PBR:0.89倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:33.7%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:3,453人(2022年9月30日時点)
■デコルテの業績は?
デコルテの2023年9月期の第二四半期の売上高は29.7億円(前年同期比+14.6%増)、営業利益5.5億円(前年同期比△39.2%減)の増収減益。しかしながら、去年は固定資産譲渡益が+4.4億円あったもので、これを除くと、前年同期比+16.9%増が実情だ。
デコルテの売上総利益率は+42.2%(前年は+42.9%)、営業利益率は+18.7%(前年は+35.3%)と高い収益性となっている。デコルテの2Qの業績をみると、業界的に閑散期であるため、2Q単独でみると、ほとんど利益がでていない。
■デコルテの事業状況は?
デコルテはフォトウエディングサービスを提供しており、フォトグラファー131名、メイクアップアーティスト139名を抱えている専門的なフォトサービス会社。従業員数は約360名、平均年齢は35歳、平均年収は460万円となっている。
フォトグラファー1人あたりの3か月間の平均撮影件数は30~50件となっており、2日に1日くらいは撮影が入っている。結婚する人数が減ってきているものの、結婚式や披露宴はしないものの、フォトウェディングだけはしておこうという割合が増加傾向になっており、デコルテに追い風になっている。
■デコルテの財務状況は?
デコルテの2023年3月31日時点の財務諸表をみると、現預金は9.1億円、有形固定資産11.1億円、使用権資産48.1億円、のれん56.4億円と巨額の固定資産が計上されている。負債をみると、有利子負債は約30億円、リース負債が40億円の計上となっている。デコルテはIFRS基準を採用しており、過去の、のれんを消却していないのが特徴だ。
デコルテのキャッシュフロー計算書をみると、営業CFが+6.4億円、投資CFは有形固定資産の取得などもあり△4.4億円、財務CFは借入金の返済などで△6.4億円となり、現預金の増減は△4.4億円となっている。ビジネスモデル的に製造企業ではないものの、箱モノのフォト会場を保有しており、定期的に有形固定資産やリース資産の取得をしているのが特徴だ。利益がでているものの、有利子負債の負担が重く、配当を出すのはまだ先になりそうだ。
■デコルテの上場時は?
デコルテは2021年6月に東証マザーズに上場。上場時の主要株主をみると、キャス・キャピタル・ファンド6号(ファンド)が87.52%を保有しており、上場時に大部分の株式を売却している。上場にともなう新規の資金調達は約7億円で、上場で資金調達したというよりも、ファンドの現金化の手段として使用したイメージだ。なお、現在はMIXI(ミクシィ)が約30%を出資する主要株主になっている。
■デコルテの状況を整理すると?
デコルテの財務諸表をみて気になるのは、のれん56億円。2017年1月31日にキャス・キャピタルが旧デコルテを買収しており、そのときに60~70億円くらいで買収したのではと推測する。純資産の超過する部分(のれん)が56億円、その時に生じたものと思われる。
デコルテの将来の成長性や収益性を見込んで、キャス・キャピタルが投資をしたと考えるのが妥当だろう。すでに上場時およびミクシィに大部分の出資分を売却しており、投資は回収できているだろう。現在の社長もキャス・キャピタル出身だ。
デコルテの2020年9月30日時点の財務諸表をみると、借入金は約44億円。2021年6月30日には借入金は36億円、2022年6月30日には借入金は34億円、 2023年3月31日には借入金は30億円。約2年半で借入金14億円を返済している。2022年2月公表の自己株式取得6億円をせずに借入金を返済していれば、20億円の返済が可能だっただろう。
最近の成長鈍化は気になるものの、デコルテはきっちりキャッシュフローを稼ぐことができる企業だ。撮影スタジオ取得のための賃貸契約が使用権資産とリース負債に計上されるため、投資CFと財務CFが膨れて見える点には注意が必要。
■デコルテの株価推移は?
デコルテの時価総額は約46億円。かなり低い評価で放置されている。フォトウエディングの将来性が気になる点はあるものの、しっかり利益を出すことができる会社。個人投資家としては自己資本比率が33.7%というのも、「本当に財務健全性は大丈夫だろうか?」と気になるだろう。
IFRS基準を採用しており、のれんを消却しないため、将来的にも自己資本比率は低く見えるだろう。言い換えると、デコルテの実態が見えていない人が多いため、割安に放置されていると考えることもできる。2023年9月期の業績予想の1株あたりの当期純利益(EPS)は144.35円。この144.35円に予想PER15~20倍をかけて計算すると、株価は2,165円~2,887円となり、現在の株価800円が割安であることがわかる。
以 上