株価は停滞気味も業績好調のベイカレント・コンサルティング、今後の行方は?

 デジタルトランスフォーメーション(DX)や経営戦略のコンサルティングサービスを提供しているベイカレント・コンサルティング(以下、ベイカレント)。2025年2月期の業績予想は売上高1,150億円、営業利益411億円、営業利益率35.7%。非常に高収益、高成長の総合コンサルティング企業だ。今後の業績と株価の行方は?

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■基本情報(2024年5月2日時点)

  • 株価:3,388円(10年来高値:6,340円)
  • 時価総額:5,265億円
  • 予想PER:17.0倍
  • PBR:6.98倍
  • 予想配当利回り:1.47%
  • 自己資本比率:74.2%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:5,541人(2023年2月28日時点)
  • 事業価値:4,831億円

■ベイカレントの業績は?

 ベイカレントの2024年2月度の売上高は939億円(前年比+23.4%増)、営業利益342億円(前年比+14.4%増)の増収増益。ベイカレントの売上総利益率は+54.6%(前年は+55.8%)、営業利益率は+36.4%(前年は+39.3%)と利益率は悪化している。

 ベイカレントの前年の売上総利益は424億円→512億円と+88億円の増加、販管費は前年の125億円→170億円と+45億円の増加となり、差し引きで営業利益は+43億円の増加となった。ベイカレントはこれだけの規模になっても前年比+20%を超える成長を継続しており、業績は好調だ。

■ベイカレントの事業状況は?

 ベイカレントをはじめとした総合コンサルティング企業の業績は好調だ。デジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に特需となっている。競合他社としては、アクセンチュア、デロイトトーマツ、PwCコンサルティング、アビームコンサルティング(NEC系)などがある。東証に上場しているのは唯一、ベイカレントのみ。

 ベイカレントの事業面では、戦略面や方向性でケチをつけるところがない。結果をきっちり出している。優秀な人材を採用し、育成し、プロジェクトにアサインしていく流れがうまく回っている。

■ベイカレントの人材戦略は?

 ベイカレントは2024年1月に本社を麻布台ヒルズに移転。移転により2023年度対比で約20.7億円の費用増加となった。しかしながら、人材がすべてのコンサルティング企業にとって、採用面などでプラスに作用するなら魅力的な立地への移転も戦略の1つだろう。

 ベイカレントの2024年2月期の人件費は約457億円。この人件費に採用費用38億円を追加すると、売上高の約53%が人件費関係になる。魅力的な立地に移転することで採用費用や従業員のモチベーションアップになるなら、戦略の1つと言えるだろう。

 ベイカレントのコンサルタント数は昨年末の2,961名→3,837名と+876名の増加となった。コンサル企業にとって、人材数×稼働率×単価が重要なKPIとなる。

■ベイカレントの株価推移は?

 ベイカレントの時価総額は約5,300億円。株価指標的には割安感はないものの、前年比+20%を超える成長をしており、成長性・収益性を考えると妥当な業績と言えるだろう。しかしながら、成長性の鈍化や業績が停滞すると、事業価値は一気に下がることは間違いないので、この株価から積極的に買う銘柄ではないだろう。

 ここ10年くらいで総合コンサルティングという事業領域が広がり、ベイカレント以外も収益性が高い企業が多い。事業会社だけで、企業改革が進まず、外部の力を借りるケースが多くなっている。株価チャートをみると、右肩あがりのチャートは終了し、右肩さがりのトレンドに入ったように見える。

以 上

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