デジタルトランスフォーメーション(DX)や経営戦略のコンサルティングサービスを提供しているベイカレント・コンサルティング。売上規模が大きく増えているものの、前年比+20%を超える成長をつづけているベイカレント。コンサルティング企業のなかでは規模感、成長性ともに突出したレベルに入っている。DX需要など追い風があるものの、どこまで規模拡大が続くのだろうか?
DXコンサルティングのベイカレント、業績好調つづく!(2021年10月23日投稿)
中期経営計画(21年~25年)発表のベイカレント・コンサルティング、DX需要で業績は絶好調!(2021年5月9日投稿)
■基本情報(2023年12月15日時点)
- 株価:4,881円(10年来高値:6,340円)
- 時価総額:7,585億円
- 予想PER:29.2倍
- PBR:11.94倍
- 予想配当利回り:0.81%
- 自己資本比率:73.2%
- 会計基準:IFRS基準
- 株主数:5,541人(2023年2月28日時点)
■ベイカレントの業績は?
ベイカレントの2024年2月期の第二四半期の売上高は437億円(前年比+24.9%増)、営業利益155億円(前年比+23.0%増)の増収増益。ベイカレントの売上総利益率は+53.8%(前年は+53.5%)、営業利益率は+35.4%(前年は+36.0%)と非常に高い水準を維持している。
ベイカレントの売上総利益は前年の187億円→235億円と+48億円の増加、販管費は前年の61億円→80億円と+19億円の増加となり、差し引きで営業利益は+29億円の増加となった。粗利(売上総利益)が大きく増え、販管費の伸びも粗利の規模感ほど増えていないため好調な利益構造を維持できている。
■ベイカレントの事業状況は?
ベイカレントはDXに強いコンサルティング企業として知名度を上げていたものの、ここ最近は事業領域を大きく広げている。決算説明資料で例示されているケースでは、水素供給事業の成長戦略の策定などサポートしている。市場環境分析、事業モデル策定、アライアンス構築計画など、従来の社内構造改革にとどまらず、経営コンサルティングの幅を広げている。
別のケースでは、メガバンクでの生成AI活用に向けたサポートを実施。事業のなかで、いかに生成AIを活用するかをサポートしている。ベイカレントの規模拡大、そして実績を積み上げたことで、顧客企業から幅広い相談が入ってくる循環が起こっていると思われる。
■コンサルタントの状況は?
ベイカレントの最重要経営資源はコンサルタントだ。いかにコンサルタント数を増やすかがポイントになっている。現在は新卒と中途採用のバランスを取りながら在籍コンサルタント数を着実に増やしている。
ベイカレントは中途採用に力をいれており、さまざまな媒体で募集を目にする。予定年収は600万円~2,500万円と能力・実績・経験に応じた報酬となっている。特徴的なのは現在の年収保障という点だ。募集内容をみると、基本給は31.7万円~、固定残業手当(45時間分)が11.1万円で月給は42.9万円~となっている。ここに賞与が大きく加算される報酬体系と思われる。すでに従業員数は3,000名を超えており、コンサルティング企業としては日本最大となっている。
■ベイカレントの財務状況は?
ベイカレントの2023年8月31日時点の財務諸表をみると、現預金は391億円、のれん191億円、有形固定資産87億円(2023年2月末:16億円)。負債は、有利子負債が約30億円、未払法人税47億円。純資産は624億円で財務的に健全だ。
気になるのは有形固定資産が2023年2月末から+71億円ほど増加している点だ。検索サイトを見るかぎり、有形固定資産の増加理由を見つけることができなかった。
■ベイカレントの株価推移は?
ベイカレントの時価総額は約7,500億円。年間の営業利益は約350億円を生み出す企業としても割高感はある。ベイカレントの成長性と収益性を織り込んでいるため、事業評価が高くなっている。ゆくゆく、成長性の鈍化は必ず訪れるので、そのときには企業価値の調整が大きく反映されるかもしれない。
以 上