米国の訴訟支援(司法省調査、民事訴訟など)のリーガルテックAI事業やメディカル分野の創薬支援や医療情報分析などライフサイエンスAI事業など展開しているFRONTEO(フロンテオ)。これまで利益を出せずに利益剰余金はマイナスの状態だったものの、一気に事業の収益力が上昇してきた。FRONTEOの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年12月3日時点)
- 株価:2,365円(10年来高値:5,300円)
- 時価総額:928億円
- 予想PER:84.3倍
- PBR:17.43倍
- 予想配当利回り:0.29%
- 自己資本比率:47.5%
- 会計基準:日本基準
■FRONTEOの業績は?
FRONTEOの2022年3月期の第二四半期の売上高は59.3億円(前年同期比+17.4%増)、営業利益は12.1億円(前年同期は△1.6億円の赤字)と増収黒字転換となった。FRONTEOの売上総利益率は+51%(前年同期は+46%)、営業利益率は+20%(前年同期は△3%のマイナス)。
FRONTEOはAIソリューション事業とリーガルテックAI事業の2つのセグメントに分けており、業績を大きく引っ張っているのはリーガルテックAI事業だ。売上高59.3億円のうち、AIソリューション事業は売上高9.8億円、リーガルテックAI事業は49.5億円となっている。FRONTEOが営業利益を赤字から+12.1億円まで改善させた要因では、売上規模の拡大と販管費を約4億円削減した影響がある。
決算説明資料を読むと、前年同期で大きく収益が改善した要因としては、AI売上高比率が改善したことと記載している。現時点のAI売上高比率は50%を超過し、2020年度の段階では約35%前後だった。2019年度の時点で約25%であり、ここ数年で大きな改善が進んでいる。このAI比率の向上が収益にどのように影響しているかは見えにくい。
■FRONTEOの事業内容は?
FRONTEOの事業内容はわかりにくい。FRONTEOは第三の人工知能という「LOCA CROSS(ルーカ クロス)」というものを開発し、AI解析ツールの「Seizu Analysis」を開発。その「Seizu Analysis」を使って、サプライチェーン、株主支配、重要人物、経済安全保障などの分析プロダクトをリリースしているが、具体的にどのようなところに、どのようなマネタイズ方法(収益モデル)で販売しているのかわからない。
FRONTEOは調査業務、犯罪捜査、内部監査、特許分析、創薬研究、医療診断などでAI分析を生かすことができるとしているものの、顧客に対して売り切り契約またはサブスクリプション型で販売しているのか、収益モデルは具体的に解説していない。
FRONTEOは金融分野にもソリューションを提供している。メガバンク、証券、大手生保、大手損保が顧客だ。
■FRONTEOのネクストステージ(売上高300億円)!
FRONTEOはステージ4として売上高300億円の成長イメージを発表している。AI関連売上高を伸ばして拡大していく予定だ。AI医療機器というプロダクトを計画しており、その売上高80億円を計画。
FRONTEOで見えないのはマネタイズ方法だ。AI医療機器も売り切りであれば、その後の反動の売上高減が起こる可能性あるし、サブスクリプション型であれば継続的な成長がイメージできる。
■FRONTEOの株価推移は?
FRONTEOの2021年に入ってから株価が一気に上昇している。一時は時価総額2,000億円くらいまで上昇。現在は時価総額900億円前後となっている。2020年3月のコロナショックで株価が低迷したときは1株156円まで下落。そこから株価の上昇で一時は30倍くらいまで株価は上昇していた。現在では10倍以上の上昇となっている。
FRONTEOはAI分野のテクノロジーを商品化しており、将来的に期待できるものの、マネタイズ方法がほとんど開示されていない。いまの売上高が積上げ型でなければ、どこかで業績は大きく下がることも起こりえる。そのときには株価は大きく下落してしまうだろう。もう少し、マネタイズ方法の開示を行ってほしいところ。
以 上