車載システム、医療システムなどデバイス・装置などに組込むシステムや金融システムなど業務システムを開発するアイ・エス・ビー。1970年創立の老舗のシステム会社で、得意分野は通信制御ソフト。2017年12月の売上高は167億円だったものの、2019年12月には225億円とたった2年間で+34.7%の増収。売上高だけでなく、ここ数年で営業利益も急増中。5GやIoTなどアイ・エス・ビーのビジネスを後押しする流れに世の中が変わってきたのか?
■基本情報(2020年7月22日時点)
- 株価:2,450円
- 時価総額:125億円
- 予想PER:18.4倍
- PBR:1.85倍
- 予想配当利回り:2.04%
- 自己資本比率:54.6%
- 会計基準:日本基準
■アイ・エス・ビーの事業内容は?
1970年に設立された当初は「インフォメイション・サービス・ビューロー」という社名だったものの、1985年に現在の「アイ・エス・ビー」に変更。同社は車載ネットワーク、カーナビなど組込システム、医療システム、中央官庁・自治体などに公共システムなどを展開。アイ・エス・ビーは自動車関連、役所、金融機関、一般会社など多岐にわたる取引先とさまざまなシステム開発を基盤としたビジネスを行っているのが特徴だ。この10年はM&Aにも力を入れていて、企業再編により事業規模が急拡大している。
アイ・エス・ビーの事業内容はわかりにくい。決算説明資料などで詳細な説明がなく、ホームページでもそれほど詳細な事業について語られていないため、アイ・エス・ビーの事業内容や製品を詳しく理解している個人投資家はほとんどいないのではないだろうか。ただ、幅広い事業を展開しつつ、ほとんどの事業が伸びているのは決算説明資料より理解できる。
■アイ・エス・ビーの業績は?
アイ・エス・ビーの2019年12月の売上高は225億円(前年比+29.1%)、営業利益11.9億円(前年比+37.4%)と大幅な増収増益。5GやIoTの言葉を目にすることが多くなったなか、アイ・エス・ビーの事業と時代の流れがうまくマッチした形だ。現在のアイ・エス・ビーの時価総額は約120億円。心配な点は営業利益率が5%程度であること。IT企業であれば、もう少し高い営業利益率であってほしい。
■アイ・エス・ビーの株価推移は?
アイ・エス・ビーの時価総額は約120億円。過去に株価がそれほど急騰して天井をつけたわけではなく、堅調な右肩あがりのトレンドとなっている。IoTやシステムをメインとする企業であれば、テーマ化して急騰することも少なくない。アイ・エス・ビーはまだその急騰を経験していない。今後の株価を考えるときには、塩漬けになった個人投資家がいないことは大きなプラスだ。
アイ・エス・ビーの改善点は投資家向けのIR。たしかに決算説明資料などを作成しているものの、事業内容がわかりにくい。たとえば、Sansanやラクス、Shift(シフト)、弁護士ドットコムなど製品に特長があり、わかりやすいビジネスモデルであれば将来の期待が株価に織り込まれやすい。営業利益率が20%以上でない場合は、もう少し丁寧にビジネスモデルを説明しないと、個人投資家の期待を誘発できない。言い換えると、まだまだ成長余地のある企業とも言える。
以 上