AWS(パブリッククラウド)導入のサーバーワークス、低収益が悩ましい

 Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス、AWS)の導入サービスをおこなうサーバーワークス。サブスクリプション型のビジネスが特徴で、安定的に売上規模を拡大させている。これまではデータセンター等の自社設備の環境(オンプレミス)でサーバーなどを保有していたものの、現在ではAWS、Microsoft Azure(マイクロソフトアズール)を活用した従量課金制のクラウドサーバーへの移管が進んでいる。サーバーワークスはそのクラウドサーバーへの移管をサポートするビジネスをおこなっている。

■基本情報(2021年3月9日時点)

  • 4,120円(10年来高値:11,200円)
  • 時価総額:313億円
  • 予想PER:69.7倍
  • PBR:3.45倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:83.1%
  • 会計基準:日本基準

■サーバーワークスの業績は?

 サーバーワークスの2021年2月期の第三四半期の売上高は56.9億円(前年同期比+20%増)、営業利益は2.6億円(前年同期比△15.9%減)の増収減益となった。サーバーワークスの売上総利益率は14.9%、営業利益率は4.6%とそれほど高くはない。四半期ベースの売上総利益率を見ると、12%~20%のあいだで推移している。営業利益は3.5%~9%のあいだとなっており、最新ビジネスという印象と異なり、それほど利益率の高いビジネスモデルではない。

 サーバーワークスは前年同期にくらべて売上総利益額は増えているものの、営業利益額は減益となっている。その理由は売上総利益額の増加にくらべて、人件費増などにより販管費が増えてしまったからだ。残念ながら、サーバーワークスのビジネスモデルはそれほど儲かるビジネスではない。

■サーバーワークスのビジネスモデルは?

 サーバーワークスはオンプレミス環境(自社設備)からAWSなどのクラウドサーバーに移行をサポートするビジネスをおこなっている。AWSへの移管後は顧客からの料金とAWSへの支払いの差額がサーバーワークスの利益になる仕組みだ。ストック型の売上高比率は94%まで上昇しており、安定的に収益を稼げているのが強みであるが、利益が薄いのは悩ましい点だ。

■パブリッククラウドとは?

 世の中は自社設備からAmazon(アマゾン)やマイクロソフトからクラウドサーバーを借りる時代になっている。使用した容量だけ支払う従量課金型だ。このAWSなどからインターネットを通してサーバー等を借りる仕組みをパブリッククラウドという。AWSはAmazonの営業利益の約57%を稼いでいる。パブリッククラウドはAmazonを支える重要なビジネスになっている。

■サーバーワークスの事業内容は?

 サーバーワークスは、顧客の自社設備(オンプレミス環境)にあるサーバーからクラウド環境への移管をサポートしている。具体的な移管サポートは「クラウドインテグレーション」というセグメントだ。AWSへの移管後に顧客にクラウド環境を提供するのは「リセール」というセグメントだ。サーバーワークスの約8割の売上高は「リセール」が占めている。

 AWSへの移管後の保守サービスなどは「マネージドサービスプロバイダ(MSP)」という。24時間365日体制でインフラなど運用代行サービスを提供している。

■悩ましい利益率、低収益がつづく!

 サーバーワークスは最新のビジネスを行っているものの、利益率は低い。売上総利益率は20%未満であり、売上規模は増えてもそれほど営業利益は増えない状況だ。あくまでAmazonに頼ったビジネスのため、事業の行方をAmazonに握られているようなものだ。株価飛躍のためには、AWSに関連する事業以外に何か次のビジネスの柱を見つける必要がありそうだ。

■サーバーワークスの株価推移は?

 サーバーワークスの時価総額は約310億円。2019年3月に東証マザーズに上場。2020年3月のコロナショックによる株式相場暴落の影響をほとんど受けず、2020年4月に上場来高値を達成。2020年7月頃から株価は下落トレンドに入った。

 サーバーワークスのビジネスで悩ましいのは、繰り返しになるが収益性だ。たとえサブスクリプション型のビジネスモデルであっても、売上総利益率が20%未満であるのは厳しい。クラウド会計のフリー、マネーフォワード、ラクス、SansanなどのクラウドIT企業は売上総利益率は60%以上となっている。サーバーワークスの株価上昇には新規ビジネスなど収益性の改善が必要だ。

(画像6)サーバーワークスの株価推移

以 上

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