POS市場の国内トップを目指すスマレジ、iPad・iPhoneアプリを活用したPOSシステムを提供!

 iPadやiPhoneアプリを使ったPOSシステムを展開しているスマレジ。売上や顧客情報などはクラウド上に蓄積し、店舗戦略を実現できるフリーミアムモデル(無料~有料サービス)のビジネスをおこなっている。コロナ禍で飲食や小売の対面店舗の売上高が停滞するなか、業績は前年比で減益となっているものの、サブスクリプション型のビジネスで安定した収益をあげている。スマレジの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?ちなみに、POSとは「Point of sale」の略称だ。

■基本情報(2021年3月12日時点)

  • 株価:4,950円(10年来高値:5,910円)
  • 時価総額:483億円
  • 予想PER:97.7倍
  • PBR:14.48倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:83.1%
  • 会計基準:日本基準

■スマレジの業績は?

 スマレジの2021年4月期の第三四半期の売上高は23.1億円(前年同期比△8.5%減)、営業利益5.9億円(前年同期比△16.6%減)の減収減益となった。スマレジの売上総利益率は64.0%、営業利益率は25.5%となっている。前年同期にくらべて、売上総利益額は増えているものの、販管費が約1.3億円増加したため営業利益の減益となった。

■スマレジのビジネス内容は?

 スマレジはiPadやiPhoneアプリを活用した店舗のPOSシステム(精算システム)を提供している。料金プランは月額0円、4,000円、7,000円、1万円、1.2万円の5つのプランを提供している。いわゆる、フリーミアムモデルを採用している。まずは無料で利用してもらい、より多くの機能を有料で使用してもらう流れだ。

 POSシステムを提供しているのは、東芝テック、NECなどハードウェア大手に加えて、スマレジと同様のiPone・iPadを活用したアプリサービスを提供しているのは「ユビレジ」、リクルート提供の「Airレジ(エアレジ)」、「スクエアレジ」なども競合として存在する。

■スマレジの取扱金額は?

 スマレジの取扱金額は年間8,000億円を突破。国を挙げたキャッシュレス化の取り組みにより、現金精算の比率が少しずつ減少しているのが傾向として表れている。スマレジの有料課金は月額固定のため、導入店舗の取扱金額が増加しても収益にプラスの影響はない。

■スマレジの売上高内訳は?

 スマレジは月額利用料(サブスクリプション型)と関連機器の販売(フロー型)の2つの売上高に分かれる。現在のサブスクリプション型の売上高比率は56.9%となっている。関連機器としてはレジセット、自動釣銭機、小型プリンター、キャッシュドロアなどがある。関連機器はスマレジが製造しているのではなく、スター精密、セイコーエプソン、グローリーなどが製造して、スマレジが販売している。

 売上高の内訳推移をみると、月額利用料は四半期ベースで着実に伸びている。月額利用料は年間で約20億円。中期経営計画で10年後にアクティブ店舗を10倍にする計画のため、年間200億円前後の売上規模を目指す計画だ。

■スマレジの導入店舗数は?

 スマレジの導入店舗数は9.2万店舗を突破。ただし、実際に毎日使用しているアクティブ店舗率は25%前後となっており、無料プランを導入したものの、実際は使用していない店舗が75%ほど存在している。スマレジの解約率は1%を割っており、一度導入すると、手放せなくなり、なかなか解約しにくいサービスだ。

■スマレジの株価推移は?

 スマレジの時価総額は約480億円。新型コロナウイルスの影響により、スマレジの本来の成長性がいまは見えない状況だ。2021年4月期は減収減益の可能性が高い。新型コロナウイルスの影響により、対面営業の飲食店や小売店の事業環境がよくなく、いま積極的に新しいPOSシステムに変更するモチベーションはあまりない。スマレジにとって、新型コロナウイルスの収束が見えたときに、再び高い成長に戻れるか個人投資家としては不透明感が残る。

 同業他社の「ユビレジ」や「エアレジ」などの売上規模の伸びが見えず、スマレジの市場シェアが落ちている可能性はある。スマレジの前年同期比マイナスの要因をすべてコロナ要因にするころができないからだ。スマレジの売上高がいまの年間35億円、営業利益7億円レベルで停滞するならば、時価総額としては100億円~200億円の範囲が妥当かもしれない。いまの時価総額480億円は今後の成長性を織り込んでおり、前年比2桁成長ができるならば妥当かもしれない。

(画像6)スマレジの株価推移

以 上

 

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