ストック売上高比率が90%を超えるSansan、名刺を活用したビジネス支援!

 法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を展開しているSansan。2021年1月14日に2021年5月期の第二四半期の決算を発表し、営業利益は前年同期にくらべて+6倍を超える成長となった。これまで事業規模と収益性の面で株価は割高と考えられてきたものの、利益の刈り取り段階に入り、企業価値の見直しを探る展開がつづきそうだ。あわせて東証マザーズから東証1部への上場市場変更が公表され、2021年1月のSansanの株価はストップ高となった。今後のSansanの株価の行方はどうなるのか?

クラウド型名刺管理のSansan(4443)、マーケットを切り開けるか?

■基本情報(2021年1月15日時点)

  • 株価:8,650円(10年来高値:8,650円)
  • 時価総額:2,694億円
  • 予想PER:489.8倍
  • PBR:24.63倍
  • 予想配当利回り:
  • 自己資本比率:52.1%
  • 会計基準:日本基準

■Sansanの業績は?

 Sansanの2021年5月期の第二四半期の売上高は76.4億円(前年同期比+21.3%増)、営業利益6.9億円(前年同期比+525.4%増)の大幅な増収増益となった。Sansanの事業は法人向けのSansan事業と個人向けのEight事業をおこなっており、両事業とも売上高は増収となった。いっぽう、営業利益の増加を支えているのはSansan事業だ。Eight事業は赤字幅は縮小したものの赤字継続。

■Sansanは売上総利益率が高い!

 Sansanのビジネスモデルは、ストック売上高(サブスクリプション型)で解約率が低く、売上総利益率が高いことが特徴だ。通常のビジネスであれば毎期、営業活動を頑張って受注を取ってくるビジネスモデルが多いが、Sansanの場合は基本的にこれまでの売上高が積み上がり、新規受注分が加算されていく。同じようなビジネスモデルとしては、電力・ガスや生命保険、システムサービス(予約サイト、会計)などが該当する。Sansanのストック売上高比率は約95%、平均解約率は0.6%前後と低い。

 Sansanの2021年5月期の第二四半期の売上総利益率は87.6%と高い。これから売上高が伸びていけば爆発的に営業利益が増えていくビジネス構造になっている。気になる点はSansanは売上総利益と営業利益のあいだにある販売管理費について内訳を開示していない点だ。2021年5月期の第二四半期の場合、約60億円の販売管理費が発生している。

 2020年5月期の有価証券報告書をみると、販売管理費の約6割についての記述があった。全体の2割は広告宣伝費(約20億円)、4割は従業員の人件費(約37億円)となっている。たしかに従業員数が約700名で人件費37億円であれば、年収500万円超で計算にあうが、本来は売上原価に参入すべき人件費もあるのではないだろうか。残り4割については記述がない。同業他社にあたるサイボウズは売上総利益率が+90%を超えており、ほとんどの費用を販売管理費に算入している。Sansanも同じ仕組みかもしれない。

■圧倒的な市場シェア、名刺管理市場を創りあげた!

 Sansanはこれまでになかった新しい市場を創りあげた。名刺をベースに取引先を管理することで、会社情報、帝国データバンク情報(与信管理)、人事異動、営業活動の情報共有、反社組織チェック、決算情報などを社内で共有化できるサービスだ。Sansanの名刺サービスの導入企業をみると、大手銀行・大手総合商社をはじめ名だたる大企業が導入していることがわかる。2019年の市場シェアは83.5%だった。

■Sansanの株価の行方は?

 Sansanの時価総額は約2,600億円。東証1部への市場変更を2021年1月14日に発表し、2021年1月15日はストップ高をつけた。たった1日で時価総額は約400億円増加し、終値は上場来最高値となった。現在、Sansanだけでなくクラウド系のITサービス企業のfreee(フリー)、マネーフォワード、ラクス、サイボウズなどの企業価値は高い。Sansanの株価は割高だと考えるものの、現在は上場来最高値のため売り圧力が少なく、ここから高値圏で当面は推移する可能性がある。

 株式市場は金融緩和と財政支出の影響で世界的に過熱感があるため、相場全体の急落が起こる可能性もあるので買いで入るのは危険なため様子見が無難ではないだろうか。相場次第ではfreeeやラクスなどの時価総額3,500億円~4,500億円くらいまで株価が上昇する可能性はあり、ここで空売りをいれると、なかなか株価が落ちない可能性があるので注意が必要だ。

(画像4)Sansanの株価推移

以 上

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