石炭・LNG火力と再生可能エネルギーのJパワー(電源開発)、割安株の行方は?

 発電と電力卸などをおこなっているJパワー(電源開発)。いまは再生可能エネルギーがテーマになっており、レノバやエフオンなどのバイオマス発電や太陽光発電の企業の株価が高い。いっぽう、二酸化炭素の排出により環境にやさしくない企業であるJパワーの株価はさえない。そのような中、日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格が高騰し、Jパワーの株価も上昇中だ。今後のJパワーの株価の行方は?

■基本情報(2021年1月15日時点)

  • 株価:1,630円(10年来高値:4,690円)
  • 時価総額:2,983億円
  • 予想PER:5.8倍
  • PBR:0.37倍
  • 予想配当利回り:4.6%
  • 自己資本比率:28.6%
  • 会計基準:日本基準

■Jパワーの業績は?

 Jパワーの2021年3月期の第二四半期の売上高は4,086億円(前年同期比△11.6%減)、営業利益543億円(前年同期比+9.7%増)の減収増益となった。増益の要因としては設備保全コストの大幅な減少(+160億円)が影響している。Jパワーの営業利益率は+13.3%と低くないものの、株式市場では評価が低い状況がつづいている。

■Jパワーの電力事業の構成は?

 Jパワーは水力、火力(石炭、LNG)、風力などの発電・売電事業をおこなっている。もっとも比率が大きいのは火力発電だ。火力発電では石炭と液化天然ガス(LNG)の2つがあるが、石炭は二酸化炭素の排出が大きいためLNGに力をいれている。Jパワーは環境にやさしくない企業として株価の評価が低いいものの、再生可能エネルギー事業として水力や風力をおこなっていることはあまり認知されていない。

■増やす再生可能エネルギーの比率!

 Jパワーは電源構成(電力事業の販売電力比率)の見直しを進めていく方針だ。現在は火力発電の石炭とLNGの比率が多いものの、再生可能エネルギーである水力と風力の比率を増やしていく。また、二酸化炭素フリーである原子力発電も計画に織り込んでいる。

 2020年12月後半より寒波到来やLNG不足によって電力の需要と供給のバランスが崩れ、余剰電力が取引される日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引価格が大幅に高騰している。株式市場ではJパワーの販売単価が大幅に上昇することにより業績に大きくプラスで出るという思惑で安値から+20%ほど株価が上昇している。なお、JEPXはよく「JPEX」と誤表記されることが多い。

■Jパワーの株価の行方は?

 Jパワーの時価総額は約3,000億円。約6年前には時価総額1兆円ちかくあったものの、環境意識の向上や成長性の停滞により株価は低迷中だ。しかしながら、予想配当利回りは4%を超えており、ここ最近のスポット電力取引価格の高騰により、本当に再生可能エネルギーに傾斜しても良いのか?という世論が沸き起こっている。Jパワーは火力発電を行っているものの、水力や風力、バイオマス発電などの再生可能エネルギー事業を行っていることは見落とされがちだ。いまの株価は割安で、配当利回りを考えると安全な投資先ではないだろうか。

(画像4)Jパワーの株価推移

以 上

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