BNPLの総合プロバイダーのネットプロテクションズ、今後の行方は?

クレジットカードと同じようなビジネスモデルである「BNPL(Buy Now Pay Later)」の「NP後払い」「atone(アトネ)」などを展開しているネットプロテクションズホールディングス(以下、ネットプロテクションズ)。最近は国内BtoBの掛け払いである企業間決済サービスにも参入している。今後の業績と株価の行方は?

「NP後払い」のネットプロテクションズ、成長鈍化のビジネスモデルの行方は?(2022年11月23日投稿)

■基本情報(2023年11月17日時点)

  • 株価:273円(10年来高値:1,698円)
  • 時価総額:265億円
  • 予想PER:ー
  • PBR:1.47倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:30.7%
  • 会計基準:IFRS基準
  • 株主数:11,637人(2023年3月31日時点)

■ネットプロテクションズの業績は?

 ネットプロテクションズの2024年3月期の第二四半期のGMV(総取引高)は2,738億円(前年比+14.0%増)、売上高は103億円(前年比+11.9%増)、営業利益△6.0億円(前年は+0.4億円)と増収であるものの赤字転落となった。

 ネットプロテクションズの売上総利益は+36.8億円(前年比+0.3%増)、売上総利益率は+35.6%。販管費は45.2億円と前年比+16.2%増となった。売上総利益が低いのは、未払いコスト(未払い率)が高止まりしているからだ。決算説明資料をみると、具体的な数値は開示されていないものの、イメージとして売上総利益の60%くらいは貸倒していると思われる。未払い率としては0.6%前後であるものの、そもそも、手数料率が売上高の3.5%~3.9%くらいのため、そのうち0.6%の貸倒は痛い。

■ネットプロテクションズの事業モデルは?

 ネットプロテクションズは従来の決済サービスにプラスしてBNPLという「後払い」という付加価値を追加した。購入者に与信を与えることで、クレジットカードを持っていない人にも後払いできるというもの。

 たとえば、「atone(アトネ)」の加盟店側の手数料は、物販系ECで決済手数料は2.5%~3.5%、デジタルコンテンツ系ECで決済手数料は4.9%~5.9%となっている。

 また、主力の「NP後払い」はカタログ通販やTV通販などでも使用でき、手数料は2.9%~5.0%(月間取引額によって手数料が異なる)となっている。いずれにしろ、使用者の与信(信用情報で利用できる限度額)は5万円~5.5万円となっている。ポイントは利用金額の0.5%還元される。

■後払い(BNPL)を使う理由は?

 後払いを使用するメリットとしては、①使いすぎの防止、②支払期限内のすきなタイミングで支払える、③カード情報の漏洩がない、④定期通販の解約がしやすい、⑤カード不要、など。しかしながら、クレジットカードが後払いの代替をしており、どこまで広がるか不明な点も多い。

 信用情報に傷がついてクレジットカードを持てない人が、後払いを活用するケースが多く、未払いリスクをネットプロテクションズがかなり負うのではないか。実際に、ネットプロテクションズの未払い負担は決して小さくない。後払いの利用者の75%は女性、20代~40代が全体の約7割を占めている。

■ネットプロテクションズの株価推移は?

 ネットプロテクションズの時価総額は約260億円。上場時から株価は大きく下落し、含み損を抱えている人は少なくない。クレジットカードと後払いのすみ分けをどのようにしていくかが大きな課題だ。信用情報に傷がない人は、後払いをあえて使う理由がそれほどない。個人は限度額が5万円程度のため、親が子どもに与えるクレジットカードの代わりのような存在か。

 なにより、未払い比率が大きな悩み。未払い比率の改善をどのようにやっていくのか。この対策ができないと、取引規模が増えても、未払い負担がかなり大きく、利益がでにくいだろう。

(画像1)ネットプロテクションズの株価推移

以 上

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