「PAY.JP」運営のBASE、ショップ作成支援サービスよりも決済支援に移行!

 個人事業主を中心にスモールビジネス向けのネットショップ作成支援「BASE」や決済支援の「PAY.JP」などを展開しているBASE。2023年11月7日、BASEは業績予想を上方修正した。売上高が堅調なこと、販管費を期初予想から削減したことが業績予想見直しの背景だ。今後のBASEの業績と株価はどうなるのか?

ネット通販サイト作成支援のBASE、決済支援「PAY.JP」など領域を広げる!(2023年3月18日投稿)

無料ネット通販サイト作成のBASE、成長鈍化も今後はPAY.JPがキー!?(2022年8月6日投稿)

■基本情報(2023年11月17日時点)

  • 株価:255円(10年来高値:3,448円)
  • 時価総額:292億円
  • 予想PER:ー
  • PBR:2.22倍
  • 予想配当利回り:0%
  • 自己資本比率:38.0%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:48,261人(2022年12月31日時点)

■BASEの業績推移は?

 BASEの2023年12月期の第三四半期の売上高は83.4億円(前年比+17.4%増)、営業利益△4.2億円(前年は△11.7億円)と増収赤字幅減少となった。BASEの売上総利益率は+42.8%(前年同期は+49.8%)と悪化している。

 BASEの売上総利益は前年の35.4億円→35.7億円と+0.3億円の増加、販管費は前年の47.0億円→39.9億円と△7.1億円の減少となり、差し引きで営業利益は+6.8億円の改善となった。販管費の大幅減の内訳をみると、プロモーション費用を前年から大幅に削減している。

■BASEの事業状況は?

 BASEのネット販売サイト支援サービスである「BASE」はほぼ横ばいのGMV(総流通総額)となっている。いまのBASEの成長を支えているのは、決済サービスの「PAY.JP」だ。

 「BASE」は2024年1月から月額有料プランのサービス利用料を従来の5,980円→19,980円に大きく値上げする。この変更によって、どのくらい有料サービスを利用している顧客が減るか不明であるものの、規模の小さいところは撤退するのではないだろうか。また、「BASE」事業のGMV(総流通総額)と売上高の比率であるテイクレートも6.0%まで下がっている。2020年12月期は8%を超えていた。

■減少する売上総利益

 BASEの事業推移を見ていくなかで気になるのは、売上総利益率と売上総利益額の停滞だ。売上総利益率は2020年12月期は+60%を超えていたものの、現在は40%台の前半まで下がっている。これは「BASE」と「PAY.JP」の構成比率が大きく影響していると思われる。この動きは今後も加速していくだろう。「BASE」の売上総利益率は+58%前後であるものの、「PAY.JP」の売上総利益率は+9.0%前後となっている。

 売上総利益額は2020年12月期に四半期で13億円~16億円だしていたものの、現在は10億円~12.5億円くらいのレンジになっている。売上規模は成長感あるものの、利益構造が大きく変わっていることに注意が必要だ。いっぽうで、BASEの人員数は増加しており、2020年12月期は162名だったものの、現在は276名まで増えている。固定費の増加が大きい。

■BASEの株価推移は?

 BASEの時価総額は約300億円。赤字であり株価の妥当性は判断しにくい。「PAY.JP」の流通総額(年間約1,200億円)が増えているので成長しているように見えるものの、年間売上高は約32億円、売上総利益は3.2億円という規模感にとどまる。競合他社のネットプロテクションズ(時価総額:265億円)の年間売上高は215億円(GMVは年間5,400億円)、ラクーン(時価総額:160億円)の対象事業の年間売上高8億円(GMVは年間400億円)となっている。

「NP後払い」のネットプロテクションズ、成長鈍化のビジネスモデルの行方は?(2022年11月23日投稿)

「スーパーデリバリー」「Paid」「URIHO」のラクーンホールディングス、成長つづく!(2023年3月5日投稿)

 BASEのネット通販支援サービス「BASE」がこれから加速度的に成長する可能性は低く、決済サービスの「PAY.JP」に期待するものの、競合他社の規模感と比較するとまだまだ足りない、というのが現状のBASEの実情だ。ただ、株価が高値からずいぶん下がったためか、株主数は4.8万人まで増加している。なかなか株価も上がりずらいだろう。

(画像1)BASEの株価推移

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする