「スーパーデリバリー」「Paid」「URIHO」のラクーンホールディングス、成長つづく!

 「スーパーデリバリー」「Paid」「URIHO」などのEC事業とフィナンシャル事業など両輪で成長をつづけるラクーンホールディングス(以下、ラクーンHD)。営業利益率は20%を超えており、安定した成長性と収益性が特徴のサービス企業。EC事業とネット系ファイナンシャルサポート事業はともに市場拡大を継続するマーケット。今後のラクーンHDの業績と株価の行方は?

「スーパーデリバリー」のラクーン、販管費増で営業利益は前年割れに!(2021年12月5日投稿)

「スーパーデリバリー」のラクーンHD、利益前年割れで株価下落つづく!(2021年9月4日投稿)

BtoB仕入れサイト「スーパーデリバリー」のラクーンHD、業績好調つづく!(2021年3月6日投稿)

■基本情報(2023年3月3日時点)

  • 株価:968円(10年来高値:3,320円)
  • 時価総額:215億円
  • 予想PER:26.3倍
  • PBR:4.1倍
  • 予想配当利回り:1.85%
  • 自己資本比率:38.2%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:6,307人(2022年4月30日時点)

■ラクーンHDの業績は?

 ラクーンHDの2023年4月期の第三四半期の売上高は39.1億円(前年同期比+11.2%増)、営業利益8.9億円(前年同期比+7.0%増)の増収増益。ラクーンHDの売上総利益率は+80.9%(前年同期は+82.8%)、営業利益率は+22.8%(前年同期は+23.7%)と営業利益率は20%台を超えている。

 ラクーンの成長性と収益性を考えると、もう少し時価総額(株価)は高くても違和感はない気がする。ラクーンの売上総利益は前年同期の29.1億円→31.7億円と+2.6億円の増加、販管費は20.8億円→22.7億円と+1.9億円の増加となり、差し引きで若干の増益となった。

■改善する営業利益率!

 ラクーンHDの2010年度からの営業利益率をみると、当初は営業利益10%を下回っていたものの、2013年度に10%を超過し、2020年度に初めて営業利益率20%を超過。2021年度はコロナ特需でマスクや除菌アルコールなどが増え、営業利益率は+29.6%まで上昇していた。

 ラクーンHDの営業利益の内訳をみると、EC事業・フィナンシャル事業ともに利益に貢献していることがわかる。

■EC事業の状況は?

 ラクーンHDのEC事業は「スーパーデリバリー」というBtoBの商材プラットフォームだ。2023年4月期の第三四半期の売上高は23.3億円(前年同期比+7.6%増)、セグメント利益は9.5億円(前年同期比+12.0%増)となっている。利益率が高いのが特徴だ。全体の流通総額は176億円となっており、約11%ほどのマージン(仲介手数料)をラクーンHDが徴収するビジネスモデルだ。

 「スーパーデリバリー」が取扱い商材は、アパレル・雑貨が圧倒的に多い。中小のネットショップやリアル店舗が「スーパーデリバリー」を通して商品を仕入れているのがわかる。最近では海外の流通額が増えている。流通額の増加にともない、システム利用料売上高が上昇するのが「スーパーデリバリー」の特徴だ。

■フィナンシャル事業は?

 フィナンシャル事業は、売上高17.8億円(前年同期比+17.1%増)、セグメント利益3.9億円(前年同期比+18.3%)と伸び率が高いのが特徴だ。ラクーンHDのフィナンシャル事業は、売掛金保証の「URIHO」と決済サービス「Paid」、家賃保証サービスの「ラクーンRENT」の3つのサービスで構成されている。

 とくに、「URIHO」と「Paid」が20%前後の高い成長性を示している。ラクーンHDの「Paid」は、「スーパーデリバリー」以外でも使用できるのが特徴で、最近では外部取扱高の増加が大きい。「URIHO」の2023年1月末時点の保証残高は402億円(前年同期は276億円)まで増加している。家賃保証の残高は75.8億円(前年同期は72.2億円)となっている。

■ラクーンHDの中期経営計画は?

 ラクーンHDの2022年4月期の実績は、売上高47.9億円、営業利益11.2億円、営業利利益率23.5%。3年後の2025年4月期の計画は、売上高77億円、営業利益23.1億円、営業利益率30%を目指している。

 「スーパーデリバリー」の流通総額は217億円(22/4実績)→375億円(25/4計画)、購入客数は2.6万店舗(22/4実績)→4.0万店舗(25/4計画)を目指す。

■ラクーンHDの財務状況は?

 ラクーンHDの2023年1月末の財務状況をみると、現預金は52億円。有利子負債は約11億円となっている。財務的には健全であるものの、「URIHO」「ラクーンRENT」などで保証している対象がどこまで安全かを見極める必要がある。保証履行引当金は1.3億円を計上しており、それを超える信用リスクが発生すると損益計算書にはマイナスが計上されるだろう。

■ラクーンHDの株価推移は?

 ラクーンHDの時価総額は約210億円。2021年4月に株価は過去最高値の3,320円(現在は968円)をつけてから、3分の1くらいまで株価は下落している。コロナ特需を株価が先取りした結果、株価の需給バランスが緊迫した結果の高騰と思われる。

 その後、ラクーンHDの株価を買いたい人(需要)が減った影響でダラダラと株価が下がっている状況がつづいている。ラクーンHDの成長性と収益性を考えると、もう少し高値評価がついても良いように見える。

(画像1)ラクーンHDの株価推移

以 上

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