流通総額120億円以上のBtoB仕入れサイト「スーパーデリバリー」や決済事業「Paid(ペイド)」や保証事業「T&G売掛保証」「URIHO(ウリホ)」、家賃保証の「ラクーンレント」を展開しているラクーンホールディングス(以下、ラクーンHD)。新型コロナウイルスの影響により対面営業が厳しいなか、マスク・除菌グッズの特需やインターネット販売の需要を取り込み成長をつづけている。ラクーンHDの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?
「スーパーデリバリー」展開のラクーンHD(3031)、EC事業だけでない!決済・保証事業も!(2020年6月28日投稿)
■基本情報(2021年3月5日時点)
- 株価:1,820円(10年来高値:2,577円)
- 時価総額:407億円
- 予想PER:55.0倍
- PBR:7.21倍
- 予想配当利回り:0.87%
- 自己資本比率:44.6%
- 会計基準:日本基準
■ラクーンHDの業績は?
ラクーンHDの2021年4月期の第三四半期の売上高は32.5億円(前年同期比+28.2%増)、営業利益9.6億円(前年同期比+82.0%増)の増収増益となった。ラクーンHDの売上総利益率は+85.3%、営業利益率は29.6%。ラクーンHDの従業員数は189名(2021年1月末時点)と少ない人数で効率的に稼ぐビジネスモデルとなっているのが特徴だ。
■ラクーンHDのビジネス内容は?
ラクーンHDはEC事業とフィナンシャル事業の2つに分かれる。EC事業はBtoB仕入れサイトの「スーパーデリバリー」をおこなっている。フィナンシャル事業は決済サービス「Paid」と保証サービスをおこなっている。「スーパーデリバリー」は2020年2~4月に除菌・マスク関連の特需が発生して流通額は急騰したものの、現在では落ち着いてきている。さらに、アパレル・雑貨グッズも安定的に伸びている。「スーパーデリバリー」は楽天市場、Amazonなどと異なり、一般消費者向けのECサイトではなく、取引業者向けのECサイトであるのが特徴だ。
■伸びるフィナンシャル事業!
ラクーンHDのフィナンシャル事業は、保証、決済、家賃保証の3本柱となっている。なかでも売掛金保証サービスの「URIHO(ウリホ)」は前年同期比+61.8%の大幅な増加となっている。「URIHO」は月額9,800円~で月額1,000万円までの保証をおこなうサービス。サブスクリプション型(継続課金)の事業でラクーンHDとしては安定的に収益を積み上げることができるビジネスとなっている。
「URIHO」と「T&G売掛保証」の2つのサービスの保証残高は約200億円。さらに、家賃保証の「ラクーンレント」の保証残高68億円を加えると、だいたい270億円の保証残高となっている。心配されるのは経済状況が悪化したときの貸倒リスクだ。ラクーンHDの財務諸表をみると、保証履行引当金として86百万円が計上されているが、保証残高の0.5%以下しか引当られていない点は少し心配だ。もちろん、実績より引当率を計算しているものの、経済環境が悪化したときの中小企業や個人(家賃保証利用者)の貸し倒れがどこまで膨らむか懸念は残る。
■ラクーンHDの株価の行方は?
ラクーンHDの株価は堅調だ。成長性と収益性を考えると、時価総額400億円に割高感はまったくない。新型コロナウイルスの影響により、「スーパーデリバリー」の成長が加速し、2本目の柱となるフィナンシャル事業も堅調に成長している。ラクーンHDの株価は調整を行いながら右肩あがりに成長していくのではないだろうか。
以 上