バンダイナムコエンターテインメントから配信されている「ドラゴンボールZドッカンバトル」や「ロマンシングサガ リ・ユニバース」などスマートフォンゲームを中心に事業を行っているアカツキ。営業利益が前年比+51%と大きく伸び、株価は反発しているものの、「ドラゴンボールZドッカンバトル」の影響が大きい。今後の株価と業績の行方は?
モバイルゲーム運営のアカツキ、ゲーム事業の業績が悪化傾向つづく!(2021年8月1日投稿)
モバイルゲームのAkatsuki(アカツキ)、事業を支えるヒット作品がほしい!(2021年1月9日投稿)
■基本情報(2024年11月15日時点)
- 株価:2,183円(10年来高値:11,070円)
- 時価総額:317億円
- 予想PER:20.9倍
- PBR:0.76倍
- 予想配当利回り:3.66%
- 自己資本比率:77.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:5,475人(2024年3月31日時点)
- 事業価値:△38億円
■アカツキの業績は?
アカツキの2025年3月期の第二四半期の売上高は125億円(前年比+8.0%増)、営業利益30億円(前年比+51.0%増)の増収増益。アカツキの売上総利益率は+61.1%(前年は+59.5%)、営業利益率は+24.0%(前年は+17.1%)と改善している。
アカツキの売上総利益は前年の69億円→76億円と+7億円の改善、販管費は前年の49億円→46億円と△3億円の減少となり、営業利益は+10億円の改善となった。
■アカツキの事業状況は?
アカツキはゲーム事業、コミック事業、IPソリューション事業の3つのセグメントで開示しているものの、全体の売上高、営業利益のほとんどはゲーム事業が稼いでいる。ゲーム事業は、バンダイナムコエンターテインメントより配信している「ドラゴンボールZドッカンバトル」が運営10年目を迎え、累計ダウンロード数は3.5億回以上で海外比率7割を記録している。日本・台湾で300人の体制で運営している。
スクウェア・エニックスとの協業タイトルの「ロマンシングサガ リ・ユニバース」は7年目。過去に展開されていた「ロマンシングサガ3」から300年後の世界を舞台にオリジナルストーリーを展開している。
■アカツキの売上・利益の傾向は?
アカツキは2Qのイベント開催の周年時期が集まっているため、2Qの売上高がもっとも高くなる。言い換えると、1Qと3Qは特に売上高が落ちる。四半期別の業績を見ていくと、ゲーム事業の営業利益が前年比+6億円となったこと、コミック、IPソリューションの赤字が大きく減っている点が営業利益改善の要因だ。
アカツキの業績を予想するには、ゲーム事業のタイトル別の売上規模や営業利益規模を見る必要あるものの、決算説明資料で開示されていない。おそらく、「ドラゴンボールZドッカンバトル」が大きく稼いでいると思われる。
アカツキの最大のリスクは、「ドラゴンボールZドッカンバトル」と「ロマンシングサガ リ・ユニバース」が終了すること。バンダイナムコとスクウェア・エニックスとの契約がどのようになっているか次第と言えるだろう。次の柱となるゲームが出てこないため、株価が割安なアカツキに注目する人が少なく、株価が低迷している。
■アカツキの株価推移は?
アカツキの時価総額は約310億円。現預金・投資有価証券を約420億円もっているため、実質的な企業価値はマイナスとなっている。業績がこれまで悪化してきていたものの、それでも黒字をキープしている会社の事業価値がマイナスというのは情けない。配当性向も80%くらいをキープしており、株価の水準訂正が起こらないか期待している。
以 上