2015年にリリースした「ドラゴンボールZドッカンバトル」が引き続き業績を引っ張っているモバイルゲーム展開のAkatsuki(アカツキ)。アカツキの業績は好調で、収益性(利益率)も高い。しかしながら、アカツキの株価はそれほど評価されていない。市場としては次のヒット作品がほしいところだ。アカツキの業績と株価の行方はどうなるのか?
■基本情報(2021年1月8日時点)
- 株価:4,050円
- 時価総額:568億円
- 予想PER:8.1倍
- PBR:1.66倍
- 予想配当利回り:1.23%
- 自己資本比率:76.1%
- 会計基準:日本基準
■アカツキの業績は?
アカツキの2021年3月期の第二四半期の売上高は167億円(前年同期比+6.8%増)、営業利益は71億円(前年同期比+17.1%増)と増収増益。アカツキの営業利益率は+42.6%と非常に高い。第2四半期だけの営業利益率を見ると、+51%と第一四半期の+30%から大きく改善している。アカツキは2010年に創業した新興ゲーム企業であるものの、スマホゲームの波にのり着実に事業を拡大させている。しかも、収益性が高いのが特徴だ。2016年に東証マザーズに上場し、2017年に東証1部に市場変更している。
■アカツキの業績を引っ張っている作品は?
アカツキの決算説明資料を読むと、作品ごとの収支などは公表されていない。ゲームの売上高を推測する「game-i」というサイトを見ると、「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」と「ロマンシング サガ リ・ユニバース」の2つがアカツキの事業を支えているのが読み解ける。スマホゲームは有料課金で収益を上げるため、2015年にリリースした作品(IP)でも長く運営することにより収益を計上しつづけることができるのが特徴だ。
ゲーム会社では、ヒット作品が出るかどうかが業績を大きく左右する。モバイルゲームに関しては、長く運営することにより有料課金で稼ぐことができるため、長期的に運営できるヒット作品が好ましい。同業他社であればガンホーは「パズル&ドラゴンズ」、Aimingは「ドラゴンクエストタクト」、gumiは「FFBE幻影戦争」が業績を大きく引っ張っている。
■自社(オリジナル)IPやキャラクターを持つ企業が強い!
ゲーム関係では「ドラゴンクエストシリーズ」「ファイナルファンタジーシリーズ」「パワプロ」「スーパーマリオブラザーズ」など昔ながらの人気シリーズが強い。アカツキやAiming、gumiなどはゲーム開発はするものの、他社IP(Intellectual Property、知的財産権)を使用している場合は、バンダイナムコやスクウェア・エニックス、コナミなど大手ゲーム会社へロイヤリティの支払いが発生する。いかに人気の自社IPやキャラクターを作ることができるかが、将来的な企業の成長に影響を及ぼす。アカツキも「八月のシンデレラナイン」など自社IPに力を入れているものの、いまのところ大きなヒット作は生まれていない。
■アカツキの株価推移と今後の行方は?
アカツキの時価総額は約500億円。事業の成長性と収益性を考えると割安に放置されている。アカツキにかぎらず、ガンホー、ミクシィ(mixi)、コロプラ、gumi、Aimingなど新興ゲーム銘柄の株価は2020年3月のコロナショック後に株式相場が活況ななか、さえない展開がつづいている。
いまの株式相場はファーストリテイリング、ソフトバンクグループなどの超大型の日経平均銘柄や半導体関係(東京エレクトロン、レーザーテック等)、クラウド関係のIT企業(freee、ラクス、Sansanなど)の株価は絶好調だ。アカツキの営業利益の10分の1くらいである企業が時価総額1,000億円を超える評価のところもいくつかみられる。もうひとつ、2020年11月にアカツキの創業者の一人(塩田氏)が63億円(150万株、4,200円)で株式を売却しており、株式市場での需給バランスが大きく崩れた要因がある。
ゲーム銘柄で注意すべきはヒット作品の配信(運営)が終わってしまうと、売上高が一気に落ちてしまう可能性があり、新しいパイプライン(タイトル)の進捗を注意してみておく必要がある。
以 上