「磯丸水産」や「鳥良」などの大衆酒場(ネオ居酒屋)を展開しているSFPホールディングス。全国に214店舗(うち、FC店舗14店舗)の大衆酒場を展開している飲食店グループ。コロナ禍で撤退を進め、コロナ前の2020年2月末には275店舗あったものの、214店舗まで縮小。助成金の収入があり、経常利益では黒字を維持している。
■基本情報(2022年7月15日時点)
- 株価:1,640円(10年来高値:2,580円)
- 時価総額:423億円
- 予想PER:24.8倍
- PBR:3.17倍
- 予想配当利回り:1.21%
- 自己資本比率:74.8%
- 会計基準:日本基準
■SFPホールディングスの業績は?
SFPホールディングスの2023年2月期の第一四半期の売上高は46.3億円(前年同期比+107.5%増)、営業損失は△6.0億円(前年同期は△22.8億円)の増収・赤字幅縮小となった。SFPホールディングスの売上総利益率は+70.5%(前年同期は+68.1%)と高いものの、人件費や店舗賃料などは販管費に計上されていると思われる。よって、限界利益(売上高ー変動費)はそれほど高くないと思われる。
SFPホールディングスにかぎらず、大手飲食店チェーン店は助成金収入が大きいため、営業利益は赤字であるものの、経常利益では黒字のところがみられる。SFPホールディングスも同様で、助成金収入が+19.6億円あった結果、2023年2月期の第一四半期の経常利益は+14.2億円と高い水準となっている。
コロナ前の2020年2月期の第一四半期の業績は、売上高102億円、営業利益9.4億円、経常利益10.6億円だった。今期は売上高46億円、営業利益△6.0億円、経常利益14.2億円と経常利益ベースではコロナ前を上回る状況になっている。
■SFPホールディングスの事業内容は?
SFPホールディングスの企業名を目にすることは少ないものの、「磯丸水産」を目にすることはあるのではないだろうか。全国に103店舗を展開しており、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)に87店舗を展開している。居酒屋チェーン店はブランド店舗で展開して、新しいブランドを打ち出すことで、顧客に新鮮味を与えるマーケティングをおこなっている。
昔は、「つぼ八」や「八剣伝」「白木屋」など店舗が流行ったものの、時代の変化とともに「鳥貴族」「串カツ田中」など新しい店舗ブランドに人気が移ってきた。SFPホールディングスも、店舗ブランドを分けながら、新鮮味を出して事業を展開している。
■SFPホールディングスの財務状況は?
SFPホールディングスはコロナ禍でも健全な財務状況を維持している。現預金は71億円保有し、有利子負債は約7億円ほどしかない。自己資本比率は70%を超えており、極めてキャッシュフローは万全だ。
2022年3月下旬に全店の営業が再開し、2022年5月時点でコロナ前対比の71%まで売上高は回復している。なお、2022年5月単月では営業利益黒字を確保していると報告している。
心配なのは、コロナ前に275店舗あったものの、現在は214店舗まで減少させているので、顧客が戻っても以前ほどの利益は計上できないことは明白だ。コロナの感染状況や政府の助成金対応などを見ながら、どこかで店舗拡大に舵を切る必要があるだろう。
■SFPホールディングスの株価推移は?
SFPホールディングスの時価総額は約420億円。居酒屋を主とする上場企業のなかではコロワイドに次ぐ時価総額となっており、ワタミよりも時価総額は高い。ただ、いまの事業規模や利益規模で時価総額420億円は少し割高感はある。
串カツ田中はコロナ禍でも積極的に店舗を拡大し、助成金を活用しながら、事業力を高めてきた。アフターコロナでは業績が一気に拡大する可能性がある。いっぽう、SFPホールディングスは守りに入っていたため、ここから競合他社で勝ち抜けるか見えない部分が残る。
串カツ田中ホールディングス、コロナで揺れる業績と株価!(2022年7月16日投稿)
以 上