「ドラッグ王子とマトリ姫」や「スタンドマイヒーローズ」などの女性顧客向けのスマートフォンゲームを展開しているcoly(コリー)。新たなヒット作に恵まれず、会社の規模拡大と売上規模の拡大がアンバランスに進んでいる状況。2022年5月に投入した「&0(アンドゼロ)」はわずか半年で打ち切り決定。将来の柱となるタイトルの育成なるか?今後の事業の行方は?
女性向けスマホゲームのcoly(コリー)、売上伸びず営業赤字と苦戦!(2022年7月2日時点)
■基本情報(2022年12月23日時点)
- 株価:1,044円(10年来高値:9,890円)
- 時価総額:57億円
- 予想PER:赤字
- PBR:0.85倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:90.1%
- 会計基準:日本基準
- 株主数:2,704人(2022年1月31日時点)
■colyの業績は?
colyの2023年1月期の第三四半期の売上高は40億円(前年同期比△18.8%減)、営業損益△3.2億円(前年同期は+10.7億円)の減収と赤字転落。colyの売上総利益率は+37.3%(前年同期は+50.3%)と大きく悪化。
colyの売上総利益は13.8億円(前年同期は22.9億円)と9.1億円の大きなマイナス、いっぽう、販管費は12.2億円→17.0億円と+4.8億円の増加となり、差し引きで13.9億円のマイナスとなった。colyの売上総利益率が悪化した理由としては、原価計算についてはソフトウェア勘定などにコストを滞留させずに、当期の費用に人件費を計上しているため、売上原価が大きく膨れた(言い換えると、売上規模に見合った原価となっていない)と思われる。
■ヒットタイトルが不足!
colyの減収赤字転落になった理由としては、会社の規模が大きくなり従業員数が465名(2022年10月31日時点)まで増加した一方、売上規模が下がったことが大きな要因だ。
colyは売上高の内訳を開示していないため、どのタイトルで、どのような収益をあげているか不明点も多い。間違いないのは2022年5月にスタートした「&0(アンドゼロ)」(2023年2月にサービス終了予定)にまったく顧客がつかず、早々に打ち切りを決めたということ。
colyの販管費の内訳推移をみると、人件費は前年四半期の倍くらいまで増加している(179百万円/期→345百万円/期)。また、広告宣伝費や研究開発費も高止まりしており、販管費が全体的に膨れている。
■colyのEntertainment Transformation(EX)とは?
colyは将来的にEX(Entertainment Transformation)やメタバース領域で作品補充とうたっている。2025年くらいまではパイプライン拡充フェーズとしており、あたらしいヒット作の育成に励む予定だ。
たしかに、IP(知的財産)としてのキャラクター権利などを持っていれば、スマートフォンゲームの課金だけでなく、ANYCOLOR(エニカラー)のバーチャルYouTuber(VTuber)集団「にじさんじ」のように、ライブストリーミングなどでスパチャ(投げ銭)やキャラクターグッズの販売で大きく拡大する機会もくるだろう。
VTuber事業「にじさんじ」運営のANYCOLOR(エニカラー)、ビジネスモデルは?(2022年12月24日時点)
■colyの財務状況は?
colyの2022年10月31日時点の財務状況をみると、現預金63億円で有利子負債はゼロ。言い換えると、時価総額57億円で現預金63億円を持っているため、事業価値はゼロ以下という計算になる。
colyはIPを活用したキャラクタービジネスやゲーム事業をしているため、ヒット作が生まれないこともある。その企業価値がゼロ以下というのは異常値であり、いまは株が売られ過ぎていると言えるだろう。
■colyの株価推移は?
colyの時価総額は57億円と上場来高値から10分の1くらいまで下落している。100万円でcoly株を買っていた人は、現在は10万円の価値しかない。これらの分厚い含み損を抱えた層が企業価値ゼロ以下で損切りしている構造がつづいている。当面は様子見が必要であるものの、数年後にはヒット作も期待できるため、引き続き、株価のウォッチは必要だ。
以 上