中古厨房販売のテンポスホールディングス、新規顧客は堅調に推移!

 中古厨房機器を店頭、ネット、直販するテンポスバスターズを傘下にもつテンポスホールディングス(以下、テンポスHD)。新型コロナで飲食店は苦戦しているものの、新規開店を考える顧客は増加傾向で2.4万人(2020年4月:1.8万人)と増加している。新規オープン向けの顧客への販売額は61億円(2020年4月:46.3億円)と好調だ。テンポスHDの業績と株価の行方は?

■基本情報(2022年7月15日時点)

  • 株価:2,284円(10年来高値:2,788円)
  • 時価総額:327億円
  • 予想PER:14.2倍
  • PBR:2.36倍
  • 予想配当利回り:0.48%
  • 自己資本比率:61.1%
  • 会計基準:日本基準

■テンポスHDの業績は?

 テンポスHDの2022年4月期の売上高は290億円(前年比+7.4%増)、営業利益18.7億円(前年比+90.6%増)の増収増益。テンポスHDの売上総利益率は+37.2%(前年は+39.3%)、営業利益率は+6.4%(前年は+3.6%)。

 2018年4月期は売上高291億円、営業利益20億円、2019年4月期は売上高301億円、営業利益19.5億円、2021年4月は売上高270億円、営業利益9.9億円とコロナ禍で落ち込んでいた業績もほぼ戻ってきた状態だ。

 テンポスHDの2023年4月期(業績予想)は、売上高339億円、営業利益30.2億円、営業利益率+8.9%を目指している。

■テンポスHDの事業内容は?

 テンポスHDの主な事業内容は中古厨房機器の販売だ。それを店頭、ネット、直販(営業)と3つのチャネルで販売している。コロナ禍で飲食店が倒産や閉鎖したため、市場に中古厨房機器が流れでて、テンポスHDが買い受けている構造だ。

 テンポスHDは中古厨房機器だけでなく、食器・調理道具、中古家具の物販や内装工事の仲介(スタジオテンポス)、飲食店FCの紹介、資金相談(テンポスフィナンシャルトラスト)など行っている。また、居抜物件紹介やM&A事業などもおこなっている。

 テンポスHDにとっては、コロナ禍で飲食店の入れ替わりが起こることで事業ニーズが生まれるというチャンスのタイミングでもある。2023年4月期は過去最高の業績にチャレンジするタイミングとなった。新規オープンを目指す顧客数は2.4万人と過去最高となっている。

 飲食としては、ステーキレストラン「あさくま」を運営する、あさくまグループが売上高52.5億円、営業損失△3.4億円となっており業績の足を引っ張っている状態だ。

■進めるM&A、全国120店舗体制に!

 テンポスHDは全国の中古厨房の競合他社を買収または資本業務提携をしながら全国制覇を目指している。いわゆる寡占化を進めていく方針だ。競合他社がいなくなると、中古厨房機器の価格はテンポスHDがコントロールすることになる。戦略としては間違っていない。

 テンポスバスター直営店は2012年4月の38店舗から徐々に増加させ、2016年4月に47店舗、2019年4月に50店舗、2021年4月に51店舗まで拡大している。

■テンポスHDの株価推移は?

 テンポスHDの時価総額は約330億円。株価の推移はいたって堅調だ。コロナで業績は一時下がったものの、ベースとなる業績は落ちていない。しかも、アフターコロナの特需が見込まれるため、ここから業績が飛躍する可能性も十分ありえる。

 飲食店は起業のハードルがそれほど高くないため、新規参入する個人事業主も少なくない。テンポスHDにとっては新陳代謝としての入れ替わりは大歓迎だ。テンポスHDの現預金は103億円、棚卸残高は31.8億円、有利子負債はほぼゼロの状態。テンポスHDのキャッシュフローをみると、設備投資がほとんどないため、営業CFがそのまま現預金増につながっている。

 競合ではないものの、飲食店の情報メディアプラットフォームをおこなっているシンクロ・フードも業績は好調だ。アフターコロナに先立ち、店舗関係や設備などが回復してきている印象だ。

「飲食店.COM」のシンクロ・フード、コロナ禍でも業績は急回復に!(2022年7月17日投稿)

(画像1)テンポスHDの株価推移

以 上

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