1994年創業のIDOM。2016年7月に社名を変更するまではガリバーインターナショナルだったため、IDOMよりもガリバーのほうが認知度は高い。2020年2月期の売上高は3,600億円ほどで過去最高。営業利益は100億円を超えられないものの91億円と増益がつづいている。2021年2月期は新型コロナウイルスの影響がなければ、営業利益104億円の予想だった。はげしい競争がつづく中古車買取・販売ビジネス。引き続き、IDOMの成長はつづくのか?
■基本情報(2020年6月19日時点)
- 株価:524円
- 時価総額:560億円
- 予想PER:19.4倍
- PBR:1.24倍
- 予想配当利回り:2.02%
- 自己資本比率:22.9%
■変化するIDOMのビジネスモデル!
IDOMの2020年2月期の売上高は3,617億円(前年比+16.9%)、営業利益は90.9億円(前年比+169%)と増収増益。しかも、営業利益は前年比で2.7倍と大きく改善。IDOMのビジネスモデルはどのようなものか?
IDOMは創業から2009年までは、中古車買取専門店の「ガリバー(Gulliver)」で中古車を仕入れ、全国に100以上ある中古車のオークション会場で業者に販売するビジネスモデルだった。ところが、2009年よりビジネスモデルを変革し、「ガリバー」で買い取った中古車を販売店で一般消費者に販売しつつ、同時にオークション会場で業者に販売するというビジネスモデルにアップグレードしている。
2009年からは買取専門店の「ガリバー」だけでなく、中古車販売専門店の「ガリバーアウトレット」、2013年からは高級車専門の中古車販売店「リベラーラ」、2014年は軽自動車専門の「ガリバーミニクル」とミニバン専門の「スナップハウス」とつぎつぎと一般消費者向けの小売店を開店。結果、IDOMは中古車の卸売り専門から卸売りプラス小売りというビジネスモデルに転換をはたした。
■IDOMの事業規模は?業績は?
IDOMの売上高は約3,600億円。年間の販売台数は21.5万台、そのうち、小売台数が13.3万台、卸売台数が8.3万台となっている。2009年よりビジネスモデル転換した結果、現在では販売店での一般消費者向けの販売台数のほうが多くなった。店舗数も直営店480店、加盟店66店舗と全国に幅広く販売ネットワークを築いている。
中古車関連は競合も多く、中古車買取専門店「ラビット」を展開するUSS(ユー・エス・エス)やネクステージ、オークネットなどがある。中古車業界では、中古車オークション会場で販売するビジネスモデルが構築されている。基本的に販売店で展示販売しつつ、同時にオークション会場でおこなわれる中継ネット販売でも売り出すというビジネスモデルで、IDOMもこのビジネスモデルに乗っかっている形だ。
IDOMの業績面で心配な点は自己資本比率が低い点だ。2020年2月期の自己資本比率は約23%。オークション会場の運営をメインにおこなう競合のUSSは自己資本比率83%、オークネットは自己資本比率61.6%、ネクステージは32.3%。中古車買取・販売のビジネスモデルでは、いかに在庫負担を減らすが重要で、IDOMの大きな課題のひとつは在庫回転率の向上だ。
もうひとつIDOMの心配な点は、営業利益率が低いこと。2011年2月期の営業利益率は5.6%だったものの、2020年2月期は2.5%と半分以下。売上高は2011年の倍以上になったものの、営業利益は当時の80億円から91億円とそれほど大きく伸びていない。
■IDOMの株価推移は?
IDOMは2005年頃には時価総額1,000億円を超えていたものの、リーマンショックの影響で株価下落。2012年からはアベノミクスによる金融緩和の影響もあり2016年までは株価上昇。この2016年から株価の下落がはじまり、なかなか再浮上できずに現在にいたる。
IDOMの借入金は1,000億円ちかくあり、ここ数年の低金利の恩恵をうけた業績となっている。売上高は堅調に伸びているため、いかにして営業利益率を改善するかが株価に大きく影響する。あたらしい営業利益率改善の施策がもとめられる。
以 上