不動産管理においてIoTやインターネットを活用したビジネスを展開しているロボットホーム(Robot Home)。2015年12月にインベスターズクラウドとして東証マザーズに上場し、2018年4月にTATERUに商号変更、2021年4月にRobot Homeに再度商号を変更している。2018年8月に投資用不動産の融資審査資料を改ざんに関与したことが判明し、国土交通省の業務停止処分を受けている。現在のロボットホームの業績と事業の行方は?
■基本情報(2021年11月12日時点)
- 株価:245円(10年来高値:2,549円)
- 時価総額:223億円
- 予想PER:79倍
- PBR:3.0倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:80.2%
- 会計基準:日本基準
■ロボットホームの業績は?
ロボットホームの2021年12月期の第三四半期の売上高は29.8億円(前年同期比△42.9%減)、営業利益3.1億円(前年同期は△5.3億円の赤字)と減収であるものの黒字転換となった。ロボットホームの売上総利益率は+59.0%(前年同期は+23.3%)と大きく改善している。
ロボットホームのセグメント別損益を見ると、PMプラットフォーム事業という投資用不動産の管理事業が堅調である点と不動産コンサルティング事業の売上高比率が大きく減少したことが売上総利益率の改善に寄与したと思われる。
■ロボットホームの事業内容は?
ロボットホームは、AI・IoT事業、PMプラットフォーム事業、不動産コンサルティング事業の3つを行っているものの、売上高の約8割はPMプラットフォーム事業となっている。
PMプラットフォーム事業は投資用不動産の管理業務である。現在の管理戸数は2.4万戸数、入居率は96.2%と高い、ストック型の売上高となっている。インベスターズクラウドやTATERU時代に販売した投資用不動産の管理業務をいまも継続している事業となっている。
PMプラットフォーム事業の管理戸数の推移をみると、2019年の2.5万戸をピークに、ほぼ横ばいとなっている。不祥事が発生してからロボットホーム(TATERU)として投資用不動産を販売していないため、自社販売分としては管理戸数を増やすことができていない。いっぽうで、安定的に稼げる事業であることは間違いない。
■期待されるAI・IoT事業とは?
今回の3QでAI・IoT事業の売上高は2.8億円と小規模ながら、営業利益は1.1億円と高い。今後が期待される事業となっている。「Residence kit」という投資不動産オーナー、管理会社、入居者に提供するサービスで、導入戸数は9,800戸となっている。「Residence kit」を導入しているオーナー数は1,940名。おそらく、「Residence kit」を不動産会社や投資家オーナーに売り込むビジネスモデルと思われる。
具体的にはスマートフォンから玄関用のカメラインターフォンの対応ができたり、外出先から施錠・セキュリティカメラのチェックができたり、スマートロック・自宅の電灯の操作ができたりするIoT機器のサービスを展開している。
■ロボットホームの株価の行方は?
ロボットホームの時価総額は約220億円。一時は時価総額2,200億円まで上昇したものの、10分の1程度まで下落してしまった。ロボットホームは現預金を約48億円もっており、有利子負債はゼロ。不動産管理業務で安定的に売上は計上されるため、時価総額200億円くらいは妥当なのかもしれない。
財務諸表で気になるのは、販売用不動産を26億円(2021年9月末)ほど持っている点で、2021年6月末の20億円から増加していること。どこかで不動産販売を再開するのではないだろうか。自己資本比率は80%を超えており、不動産会社としては健全な財務状況だ。個人的には不動産の管理戸数を増やすことができる見通しがでてくれば、面白い銘柄だと考える。
以 上