中古車などのBtoBネットオークション開催のオークネット!安定経営も成長停滞中

 中古車や中古スマートフォン・パソコンの小売店向けにオークションを開催するオークネット(AUCNET)。ここ数年、売上高は200億円ほどで停滞し、営業利益は少しずつ減少している。オークネットのビジネス領域は、中古車、バイク、デジタル機器、ブランド品、医療機器など拡大しているものの、売上高が伸びていないのが大きな悩み。消費者になじみの小さいBtoBオークション事業とは?

■基本情報(2020年6月19日時点)

  • 株価:1,086円
  • 時価総額:302億円
  • 予想PER:21.0倍
  • PBR:1.63倍
  • 予想配当利回り:1.84%

■オークネットの事業内容は?

 オークネットは、中古車、中古バイク、中古スマートフォン、中古パソコン、ブランド品、花き、中古医療機器などを、出品者と落札者をつなぐオークションを展開している会社。対象は基本的にプロ(業者)同士。1985年創業。ヤフオク、メルカリ、ラクマなどのよく知られたフリマやオークションと異なり、オークネットでは会員企業が出品し、プロの買取業者や小売店などが落札するビジネスモデル。

 2019年12月期のオークネットの売上高構成をみると、中古四輪車が約6割、デジタルプロダクツ(スマートフォン、パソコン)が約2割となっている。オークネットは、オークション会場をもたず、現物(現品)の出品がないのが特徴だ。そのため、会場費用や現物の輸送の手間を削減できる。

 オークネットの2019年度の取扱高総額は3,575億円、会員数は2.5万社。取扱高の86%の3,091億円は四輪事業。2019年度のオークネットの売上高は197億円(前年比+0.9%)、営業利益25.3億円(前年比△21.5%)と増収減益。やはり心配になるのは売上高が成長していないなか、営業利益が前年割れしている点。セグメント利益をみると、売上高が大きい四輪事業で営業利益の約8割を稼いでいる。

■高度化するオークネットのビジネス!

 オークネットのビジネスは高度化と複雑化がすすんでいる。インターネット上のプラットフォーム企業は、仕組みを一度つくってしまえば、それほど労力をかけずに取引高が増えていくのが一般的。たとえば、食品仕入れ仲介のインフォマート、宿泊予約サイトの一元管理の手間いらず、靴のモールビジネスのロコンド、フリマサイトのメルカリ・ラクマなど。これらのビジネスは一度、インターネットで仕組みを構築すると取引高の増加ともない、自社への手数料が増える仕組み。

 いっぽう、オークネットのプラットフォーム事業は手間がかかる。中古四輪車であれば、同社のサイト「オークネット.jp」では、子会社の株式会社AISがすべての中古車両を検査した上で出品している。株式会社AISが全国で180名の認定検査員を保有しているためコストがかかる。また四輪車は車両のグレード、装備などがそれぞれ異なり、査定に手間がかかる。

 オークネットの売上高は約200億円。連結ベースで従業員が660人いるため、一人当たりの売上高は3,000万円程度。オークネットのビジネスは、仕組みを維持するために労力がけっこうかかる点が難点だ。

■競争はげしい中古車オークション!オークネットの強みは?

 中古車のオークション事業の競争ははげしい。全国には中古車の専用オークション会場が140か所以上あり、中古車マーケットの約8割がオークション会場経由で売買されている。オークション会場ではライブ中継されており、会場に訪れなくても売買できるのが特徴だ。

 2019年度の全国オークション会場の成約台数は489万台。2019年度のオークネットの総成約台数は43万台であり、ざっくりしたシェアは約9%。このような競争はげしい中古車オークション業界であるが、オークネットの強みは何か?オークネットはあくまでも仲介ビジネスである点。自社で在庫をもたないため、不良在庫が発生しないことが大きな強み。今後、どこまで取引高をあげて、事業規模を上昇できるかがポイントになる。

■さまざまなオークネットのサービス!

 オークネットはオークションを運営しているだけではない。オークションビジネスから派生した多くの事業を展開している。たとえば、全国展開しているレンタルバイク事業支援サービスの「モトオーク」。中古車を仲介しているため、その中古車の保証サービスやオートローン(自動車ローン)なども展開中。

 2020年3月からはCtoBサービスとして「クルマ売却エージェント」をスタート。一般消費者がオークションを通じて買取業者や販売店に中古の自家用車を販売できるサービスだ。また、海外事業にも着手し、中古スマートフォンの米国の流通やブランド事業の米国進出をすすめている。このように新しい取り組みをしているものの、ここ数年、売上高が成長していないのがオークネットの最大のマイナスポイント。どのように事業規模を拡大するか、個人投資家としては注目したい。

■オークネットの株価推移は?

 オークネットの株価は、時価総額300億円前後で低迷中だ。プロ向けのオークションを運営していて独特のビジネスモデルは評価できるものの、売上高がかわらないまま営業利益が減少傾向である点が株式市場でも評価されていない。オークネットの営業利益率は10%を超えており、売上規模が増えていくシナリオが見えれば評価されるはず。反対に、このまま減収がつづくようであれば、さらなる株価の下落が心配される。

以 上

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする