TV通販、ベンダー販売、ネット販売などで実演販売を展開しているコパ・コーポレーション（以下、コパ）。1998年10月設立、従業員数45名の実演販売企業。自社で在庫を抱えているため、ECを中心とした「小売業」と言ったほうが正確だろう。上場後、事業は低迷しており苦戦中。今後のコパの戦略と業績の行方は？
TV通販中心の実演販売のコパ・コーポレーション、上場後は苦戦つづく！(2022年4月24日投稿）
■基本情報(2022年10月28日時点）
- 株価：828円（10年来高値：9,320円）
- 時価総額：25億円
- 予想PER：306倍
- PBR：0.84倍
- 予想配当利回り：0%
- 自己資本比率：86.2%
- 会計基準：日本基準
- 株主数：1,897人（2022年2月末時点）
■コパの業績は？
コパの2023年2月期の第二四半期の売上高は15.8億円（前年は24.7億円）、営業利益26百万円（前年は2.0億円）と減収減益。ただし、会計年月の変更をおこなっているため、決算短信には前年同期比の記載がない。
コパの売上総利益率は+36.7%（前年は+34.4%）、営業利益率は+1.6%（前年は+8.2%）と売上総利益率は改善したものの、営業利益は悪化となった。コパの売上総利益は5.8億円（前年は8.5億円）に対して、販管費は5.5億円（前年は6.5億円）。結局、売上高の減少が大きく影響している。
コパはコロナ禍の2020年6月に上場時、初値は4,530円（公募価格は2,000円）で現在の株価の５倍ほど。ほぼ、すべての個人投資家が含み損の状態だ。コパは上場により約７億円の資金を調達。
■コパの事業状況は？
コパの販売チャネル別の売上高をみると、TV通販は7.1億円（前年は11.7億円）、ベンダー販売は3.5億円（前年は5.6億円）、ネット通販は4.3億円（前年は6.1億円）とすべてのチャネルで売上高が悪化している。
コパの決算説明資料によると、売上高悪化の要因は新型コロナウイルス感染拡大による行動制限の緩和などで経済活動が再開したため巣ごもり消費の停滞が発生した、また、オミクロン株感染やウクライナ情勢、原料高、円安などの不安要素が売上減の要因としている。しかしながら、このような言い訳をしていたも仕方がないし、このような状況下で業績をのばしている企業はいくらでもあるので説明になっていないのが実情だ。
すべてのチャネルで販売が低迷しており、コパの成長性をビジネスモデルから感じることができない。おそらく、打開策がなく「皆様へワクワクする買い物を。」というコンセプトに成長戦略を記載しているものの、中身の開示がまったくない。2023年にサービスローンチを目指すとあるが、ヒントくらいは欲しいところ（実際は何も案がない可能性もありえる）。
■コパの財務状況は？
コパの2022年8月末時点の財務諸表をみると、現預金は14.5億円あるものの、棚卸資産が13.9億円も計上されている。半年間の売上規模が15.8億円のため、原価ベースでは6カ月以上の在庫を抱えている計算になる。コパは利益剰余金を21億円計上しているため、すべての在庫を減損しても致命的な影響はない。しかしながら、上場して２年の会社がここまで収益が悪化するのは珍しい。有利子負債は短期借入金52百万円のみ。
ただ、24/7ワークアウト、プリントネットなど上場前の業績は良いものの、上場後から業績が悪化するケースは以前も少なからずあった。
■コパの株価推移は？
コパの時価総額は25億円。2023年2月期の業績予想は売上高31億円、営業利益は12百万円を計画している。2022年10月14日の決算発表にあわせて業績の下方修正を実施している。
もともとは、売上高35.1億円、営業利益1.0億円だったことを考えると、売上総利益の確保が難しくなり、利益面は大きく減額となった。正直、実演販売による事業拡大が期待できないレベルまできている。10月14日に決算発表してから株価も大きく下がっている。前年比で大きく売上高が下がるビジネスモデルで期待はできないだろう。
ただ、時価総額が25億円まで下がったため、思惑などで上下に大きく動く可能性や仕手化する可能性はありえるものの、純粋な成長期待で買うことはむずかしい。なお、従業員数は42名で平均勤続年数が3.9年と短い。平均年齢37歳で平均年収555万円とそれほど高いわけではないため、実演販売士としてのバリュー（価値）を出すよりも、プレゼンテーターとして給与水準の高い他社で働いたほうが良いかもしれない（実演販売士自体の個人能力は高いと考える）。
以 上