「ATAO」の婦人用バッグ・財布を販売のスタジオアタオ、成長戦略は?

 「ATAO」「IANNE」「ILEMER」など5つの自社ブランドをリアル店舗とECサイトで販売しているスタジオアタオ。婦人用のバックや財布を販売しており、どれも数万円する中高価格帯を販売しているアパレルブランド。成長性が鈍化し、売上高が伸びず株価は低迷。従業員数は73名、平均年収353万円(平均年齢32.1歳)。今後の株価と業績の行方は?

■基本情報(2022年10月28日時点)

  • 株価:222円(10年来高値:1,635円)
  • 時価総額:31億円
  • 予想PER:ー(利益ゼロの見通し)
  • PBR:1.1倍
  • 予想配当利回り:2.25%
  • 自己資本比率:76.8%
  • 会計基準:日本基準
  • 株主数:3,876人(2022年2月28日時点)

■スタジオアタオの業績は?

 スタジオアタオの2023年2月期の第二四半期の売上高は19.8億円(前年同期比+11.7%増)、営業利益58百万円(前年同期比+5.3%増)の増収増益。スタジオアタオの売上総利益率は+70%(前年同期は+63.0%)、営業利益率は+2.9%(前年同期は+3.1%)と売上総利益率は改善となった。

 スタジオアタオの売上総利益は13.9億円と前年から+2.7億円の増加となったものの、販管費が10.6億円→13.3億円と+2.7億円の増加となり、ほぼ営業利益は横ばいとなっている。販促費は前年の4.0億円→3.7億円と減少しており、販促費の削減があるものの、販管費全体の内訳で増えている項目があるということだ。

 なお、2022年2月期の販管費の内訳をみると、販売促進費9.4億円、支払手数料3.4億円、人件費2.2億円、地代家賃2.1億円の項目が大きい。

■スタジオアタオの事業内容は?

 スタジオアタオの売上高19.8億円の内訳をみると、インターネット販売(EC)が11.2億円(56.7%)、店舗販売が8.2億円(41.6%)とネット販売のほうが割合が高い。ただ、店舗販売は地代家賃や人件費を考慮すると、利益率はネット販売よりも低いと思われる。

 スタジオアタオはモール型の新しいECサイト「ATAO LAND+」を2022年5月にオープンし、ネット販売を委託していたデジサーチアンドアドバタイジング(以下、デジサーチ社)との商品販売基本契約を2022年7月末に終了し、提携解消をしている。有価証券報告書に記載のあった支払手数料の3.4億円の多くをデジサーチ社に支払っていたと思われる。

 スタジオアタオが収益力や成長性を回復するには、自社でECのノウハウを積み上げて、マルチチャネル(楽天、アマゾンなど)を活用したネット販売の体制を構築することが重要だろう。正直、スタジオアタオの商品価格は中高価格帯であり、売上総利益率が70%前後であるものの、いまの営業利益率は経営がうまくない。

■苦戦するスタジオアタオ

 スタジオアタオは自社でEC戦略を作っていくことになったものの、足元の業績はよくない。第一四半期の売上高は12.2億円(前年同期比+16.7%増)、営業利益99百万円(前年同期比+390%増)だったものの、第二四半期累計は19.8億円、営業利益58百万円と2Q単体でみると営業利益は赤字だったと思われる。

 季節的に6~8月(2Q)は苦戦する季節かもしれないものの、前年の2Q単体は営業黒字だったことを考えると、デジサーチ社が抜けたことで社内にノウハウがなく、さらに業績が悪化するリスクがあることに留意が必要だ。

 「収益認識基準」の変更をみると、なんと2023年2月期から一部の百貨店とデジサーチ社向けの売上高の認識が変更され、従来ベースよりも2Q累計で3.3億円の増収要因になっている。いっぽう、販管費が3.3億円の増加となり、営業利益に影響はない。そのため、売上総利益率が前年の63%→70%に改善していることがわかった。言い換えると、今年は実質は減収減益であるということだ。

■スタジオアタオの財務状況は?

 スタジオアタオの022年8月末時点の財務状況は、現預金は20.4億円あるものの、その他投資が4.8億円あることが気になる。中身がよくわからない。有利子負債は5.5億円ほどあるものの、これまでの利益の積み上げがあり、財務状況は健全だ。

■スタジオアタオの株価推移は?

 スタジオアタオの時価総額は約30億円。収益認識基準の変更要因を控除すると、減収減益ときびしい状況であり、低収益となっている現状を考えると、妥当な株価だろう。ここから立て直すのは相当きびしいかもしれない。スタジオアタオの高価格帯の商品が売れなくなっており、商品力がなくなっていることは投資先としては致命的だ。

(画像1)スタジオアタオの株価推移

以 上

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