ポイントサイト「モッピー」、暗号資産取引所等を展開するセレス、業績の行方は?

 ポイントサイト「モッピー」や暗号資産・ブロックチェーン事業として「CoinTrade」「ビットバンク」などを展開しているセレス(ceres)。暗号資産・ブロックチェーン事業のフィナンシャルサービス事業は赤字が続いているものの、ポイントサイト事業は絶好調だ。暗号資産・ブロックチェーン事業が注目を集めるなか、セレスの今後の業績と株価の行方はどうなるのか?

■基本情報(2021年4月9日時点)

  • 株価:4,295円(10年来高値:5,260円)
  • 時価総額:497億円
  • 予想PER:29.5倍
  • PBR:7.25倍
  • 予想配当利回り:0.69%
  • 自己資本比率:40.1%
  • 会計基準:日本基準

■セレスの業績は?

 セレスの2020年12月期の売上高は202億円(前年比+22.4%増)、営業利益15億円(前年比+70%増)の大幅な増収増益となった。セレスの売上総利益率は30.9%、営業利益率は7.4%。なかなか営業利益率10%を突破できず、1ケタ台で停滞しているものの、事業規模の拡大により営業利益額は大幅上昇となった。

■セレスのセグメント別損益は?

 セレスはモバイルサービス事業(ポイントメディア等)とフィナンシャルサービス事業(暗号資産事業など)の2つの事業セグメントに分けて管理している。セレスの業績を引っ張っているのは、ポイントサイト「モッピー」をはじめとしたモバイルサービス事業だ。「モッピー(moppy)」は会員290万人を抱える巨大なポイントサイト。従来は「お財布.com」と「モバトク」のポイントサイトを運営していたものの、現在は「モッピー」に統合されている。

 セレスのモバイルサービス事業のもう一つはアフィリエイトプログラム。AD.TRACKにより広告主とアフィリエイトメディアの「オトナ女子ログ」や他メディア・インフルエンサーに連携するビジネスを築いている。そして、セレスが注目されているのは暗号資産取引所を含むフィナンシャルサービス事業だ。

■セレスの暗号資産・ブロックチェーン事業とは?

 セレスが今、注目されている理由は暗号資産取引所(仮想通貨取引所)とブロックチェーン事業だ。セレスは過去、コインチェック(現在はマネックスグループ)に出資していたこともある。セレスの子会社であるビットバンクが暗号資産取引所「ビットバンク(bitbank.cc)」を展開している。子会社のマーキュリーは「CoinTrade」を展開している。

 セレスのフィナンシャルサービス事業は赤字が続いていたものの、法定通貨の異次元の金融緩和により通貨価値が下落し、暗号資産(仮想通貨)に注目が集まり、取引所の取引手数料が大幅に上昇することが期待されている。2020年4Qの数値を見る限りでは依然として赤字のまま。

 セレス子会社のYUMEMI(ゆめみ)は、暗号資産販売所「CoinTrade」のアプリ開発などを支援している。「モッピー」を通して、暗号資産取引の口座開設を促すなど、セレスグループで連携した取り組みが進んでいる。

■セレスに期待される投資事業

 セレスはベンチャー企業への投資も積極的だ。過去にはAmazia、バリューデザイン、コインチェックなどに出資し、すでに利益を確定している。現在はクラウドファンディングのCAMPFIRE(キャンプファイヤー)などに出資しており、上場による利益確定が期待されている。セレス自身で積み上げた事業を見極める眼により、将来有望なベンチャー企業に投資をして成功させている。

■セレスの株価の行方は?

 セレスの時価総額は約500億円。2021年12月期は売上高238億円、営業利益20億円を計画している。セレスは安定的にポイントサービス事業で稼げるため、安定した収益を上げることが可能だ。ただ、株価チャート的には少し上昇が急ぎ過ぎる感じはする。セレスの暗号資産・ブロックチェーン事業がどこまで利益を出すことができるのは不透明であるものの、爆発的に収益性が高まる可能性があり、引き続き注目したい。暗号資産・ブロックチェーン事業では、マネックスグループ、gumi、CAICA、そしてセレスが注目される。

 日本銀行(中央銀行)もブロックチェーン技術を活用したデジタル通貨(中央銀行デジタル通貨、CBDC)の発行を検討しており、将来的に法定通貨と暗号通貨の価値がどうなるか、いまのところ誰も予想できない状況だ。セレスが蓄積したビジネスノウハウは活かされるはず、と期待したい。

(画像5)セレスの株価推移

以 上

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