独立系システム開発のCIJ(4826)、このままで株価の飛躍は見込めるのか?

 独立系システム開発会社のCIJ。日立製作所とNTTデータ向けの売上高が約4割の下請けシステム開発会社。業績は安定しているものの、売上高は200億円規模で停滞気味。現在の下請けシステム開発会社から自社製品を販売するシステム会社に変革できるかが株価飛躍のポイントとなる。ホテルなどサービス業に展開が期待される自律移動型サービスロボット「AYUDA(アユダ)」など自社製品の発展は進むのか?

■基本情報(2020年6月12日時点)

  • 株価:876円
  • 時価総額:171億円
  • 予想PER:13.0倍
  • PBR:1.16倍
  • 予想配当利回り:2.28%

■安定した業績と成長への不安!新規事業の行方は?

 CIJの2020年6月期の第三四半期の業績は、売上高157億円(前年同期比+6.4%)、営業利益14億円(前年同期比△6.6%)と増収減益であるものの堅調だ。CIJの事業は、システム開発、コンサル・調査研究、SI/PI、その他の4つに分かれている。そのなかで売上高の約9割を占めているのはシステム開発だ。

 CIJの売上高をみると、NTTデータ、日立製作所、SCSK、TISなど上位10社で約45%を占めている。大手企業のシステム開発の下請け企業としてのポジションを確立しているものの、CIJは主要企業の事業の動向に業績が大きく左右されてしまう構造になっている。

 CIJ自身もいまの事業モデルからの転換を考えていないわけではない。経営方針として、自社製品の拡大をあげている。たとえば、ペーパレス会議システムの「SONOBA COMET」や自治体向け福祉総合システム「SWAN」などの自社システム、そして自律移動型サービスロボットの「AYUDA(アユダ)」などの展開だ。「AYUDA」はホテルなどのサービス業では省人化設備としての導入が期待される製品だ。

■中期経営計画の達成は?株価への影響は?

 CIJの中期経営計画では、2021年6月期に売上高220億円、営業利益18億円を目指している。現在の業績からみると、営業利益としては毎年+5%の伸びにとどまる。投資家の角度からみると、営業利益+5%くらいの伸びでは物足りないというのが正直なところ。

 個人投資家は成長する企業、収益性が高い企業に投資をして株価の上昇を期待している。CIJは堅実な経営をおこなっているものの、株価の上昇期待という点ではいまいち。CIJがこのまま下請け開発にとどまるのであれば、景気動向や株式相場の動きに連動した株価の動きに限定されてしまうからだ。

 いっぽうで、CIJが仮に自社製品やサービスロボットを予想外に拡販することができれば、これまで織り込まれていない期待により株価の急騰が見込まれる。CIJを株価指標的にみると、予想PERは13倍程度と割安で、自己資本比率は81.4%と財務的に優良な会社。リスクとリターンを考えると、低リスクの中リターンというところか?

■CIJの株価推移は?

 CIJの株価は堅調だ。リーマンショック以降は一貫して右肩あがりで推移している。コロナショックで一時的に下落したものの、現在では下落前の株価水準まで回復。CIJは財務的に余裕があるので、積極的な企業買収なども面白いかもしれない。大きなサプライズがあれば、株価のさらなる飛躍を期待できる。

以 上

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