新商品や新サービスをインターネット上でテスト販売する0次流通市場のビジネスを展開しているマクアケ(Makuake)。消費者に「応援」と「共感」を含めて購入体験を提供する「応援購入」をコンセプトに新商品や新サービスを売買できるプラットフォームを構築したマクアケ。前年比での成長は+80%を超え、これまで未認識だった新しい市場を創りあげている。今後のマクアケの株価と業績はどうなるのか?
0次流通市場を広げるマクアケ(Makuake)、コロナ禍で攻める、テレビ広告も!(2020年12月27日投稿)
■基本情報(2021年4月23日時点)
- 株価:6,120円(10年来高値:13,770円)
- 時価総額:748億円
- 予想PER:166.1倍
- PBR:11.33倍
- 予想配当利回り:0%
- 自己資本比率:67.1%
- 会計基準:日本基準
■マクアケの業績は?
マクアケの2021年9月期の第二四半期の売上高は21億円(前年同期比+87.2%増)、営業利益0.6億円(前年同期比△73.6%減)の増収増益となった。成長を加速するため、広告宣伝費を2020年10月~2021年3月までの6か月間で7.4億円投入している影響が大きい。ちなみに、前年同期の広告宣伝費は約1.5億円で、前年同期で約6億円の成長投資となっている。
マクアケの売上総利益率は+82.8%(前年同期は+80.3%)と高い。応援購入総額という取扱高を増やすと爆発的に売上総利益が増えていくビジネスモデルを構築している。ビジネスモデルとしては、メルカリ、ZOZO、ロコンド、クルーズなどのECサイトと同じ仕組みだ。これらのビジネスは一度購入するとリピーターとして再度購入する可能性が高い。いかにECサイトの購入者数(会員登録者数)を増やすかが重要なKPI(成功のカギ)になる。
■0次流通市場とは?
マクアケがビジネスを展開しているのは市場に流通していない新製品や新サービスのテスト販売的な位置づけの市場だ。競合としてはkibidangoやCAMPFIREなどクラウドファンディングサイトが該当する。1次流通市場であれば、Amazon、楽天、ヤフーショッピング、ZOZO、ロコンドなどがECサイトとして存在する。2次流通市場は中古市場で、メルカリ、ラクマ(楽天)など該当し、リアル店舗であればトレジャリーファクトリーやセカンドストリートなどが該当する。
■マクアケの応援購入総額は?
マクアケの2021年9月期の応援購入総額(計画)は249億円(前年は147億円)で前年比+70%を計画している。すでにインパクトの大きい市場規模となっている。マクアケの0次流通市場は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により特需が発生し、一気に市場が広がった印象だ。心配なのは2020年4月以降に応援購入総額が急拡大したため、次の四半期(3Q)から成長率は鈍化する見込みだ。
この成長率鈍化を予想して、決算発表後のマクアケの株価は急落している。これまでは0次流通市場の市場規模が見えていなかったものの、現在の応援購入総額推移をみると、頭打ち感がある。マクアケの業績について、翌年はそれほど伸びないと投資家は見ている。
■マクアケの戦略は?
マクアケの販管費推移をみると、マクアケが力を入れている戦略が見えてくる。応援購入総額の成長鈍化が見えたなか、広告宣伝費を投入して更なる市場拡大に注力している。テレビCMもスポット的に投入している。マクアケは2021年2月に「海外募集による新株発行」(増資)を発表し、約37億円(50万株)の資金調達を実施した。調達した資金で①広告宣伝、②組織強化のための人材投資、③システム開発費、④M&A、に資金投入する計画だ。
現在の株式市場の株高を活用して、グロース銘柄の増資が目立つ。マクアケ以外では、無料で簡単にネットショップが作成できるサービスを提供しているBASE、ふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」を展開するチェンジ、ソフトウェアテストのSHIFT、クラウド会計のfreee(フリー)などが増資により数十億円を調達している。
■マクアケの株価の行方は?
マクアケの時価総額は約750億円。2020年11月に上場来高値の13,770円をつけてから、株価は半額以下の6,120円(2021年4月23日時点)まで下落している。2020年3月のコロナショック後、グロース株に資金が集まっており、クラウドITサービスや半導体銘柄の株価は大きく上昇している。株価指標的には実態以上に評価されている企業も少なくない。マクアケの予想PERは160倍を超えており、成長性を考慮しても買われ過ぎの水準に見える。
しかしながら、世界的な金融緩和と財政出動は継続する見込みで、ここからマクアケの株価が1万円を超える可能性も十分起こりえる。安値で拾っていくことはおススメできない。たとえ貸借銘柄になっても空売りはおススメできない。引き続き、マクアケの成長性と株価動向に注目したい。
以 上